ワクチン証明義務化のフランスで抗議拡大 不正発行も問題に

2021年7月25日 21時15分
14日、パリでワクチン接種証明書「衛生パス」の提示義務化を含むフランス政府の強硬策に抗議する人々=ゲッティ・共同

14日、パリでワクチン接種証明書「衛生パス」の提示義務化を含むフランス政府の強硬策に抗議する人々=ゲッティ・共同

 【パリ=谷悠己】新型コロナウイルスワクチンの接種率を上げるため接種証明書「衛生パス」の提示義務が拡大しているフランスで、パスへの抗議が拡大している。最近まで沈静化していた「黄色いベスト運動」と連動したデモが各地で発生し、再びマクロン政権の悩みの種になりつつある。接種を拒む人の間でひそかな需要がある偽造証明書の発行も問題化している。
 「フランスに自由を」「マクロンは衛生独裁者」
 こうしたプラカードを掲げたデモには24日、仏全土で前週より5万人多い16万人超(仏内務省調べ)が参加。パリでは東京五輪のパブリックビューイング会場に隣接した広場などに1万1000人が集まり、五輪への声援をかき消した。
 きっかけはマクロン大統領が12日にテレビ演説で発表した一連の政策。欧州連合(EU)が導入した接種歴のデジタル証明書を国内では衛生パスと呼び、21日から映画館や博物館で提示を義務化。8月からは飲食店など生活に欠かせない施設にも拡大し、医療従事者には接種自体を義務化する法案を審議している。
 自由を愛する国民性のフランスには「自分の健康は自分で決める」として各種予防接種に反対する人がコロナ禍前から一定数いたが、衛生パス導入に伴って先鋭化。黄色いベスト運動や極右、急進左派政党などがパス反対を呼び掛けたことで、デモが大規模化した。
 ニュース専門テレビBFMの世論調査で、パス拡大策の支持率は76%と高く、仏政府はデモ隊を「少数派」と位置付けている。マクロン氏は25日、離日後に訪れた仏領ポリネシアのタヒチ島で仏メディアに「いかなる自由も義務なしでは実現しない」と話し、デモ隊をけん制した。
 デモ参加者やワクチン接種に懸念がある人の間で流通し始めているのが偽造パス。仏紙パリジャンは17日付紙面で、300ユーロ(約3万8000円)で不正入手した記者の体験談を掲載した。会員制交流サイト(SNS)で希望者を募っていた人物に連絡を取り、指定された接種会場の個別ブースで看護師に金銭を払い、偽の証明書を発行してもらったという。12日のマクロン氏の演説以降は取引価格が倍増したとされ、仏政府は厳罰化を検討している。
 仏国内の新規感染者は感染力の強いデルタ株の影響で急増中で、24日は2万2000人を超えた。

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