<新型コロナ>コナミスポーツ、一転支給 休業手当不支給 産業界に拡大

2020年5月16日 02時00分

コナミスポーツの本社に対して休業補償支給を訴えるインストラクター=15日、東京都品川区で

 スポーツジム最大手のコナミスポーツが、新型コロナウイルスの感染拡大で休館にしたジムで働く非正規のインストラクター(指導員)らに休業手当を支給していない問題で同社は十五日夕、一転して三月までさかのぼって支払う方針を表明した。非正規社員に休業手当を出さない問題は産業界で広がっており、国の政策の欠陥も鮮明になっている。 (池尾伸一)
 コナミは三月からレッスンを一部休止。四月の緊急事態宣言以降は全館休業としたが、全国百八十の施設で働くアルバイトの指導員の休業手当は「政府要請に基づく休館のため支払い義務はない」とし払っていなかった。
 指導員の一部が個人加盟の労組「総合サポートユニオン」に加盟。十五日も本社前で抗議活動しコナミ側とも面会したが、その時点では不支給の方針を崩さなかった。だがこの日夕、同社は給与の全額の休業手当を支給するとホームページで発表。理由は「状況を総合的に勘案した」と説明するにとどめた。
 それでも非正規の人々を困窮に陥れた同社の責任は重い。抗議に参加した三人の子どもを育てるシングルマザーの四十代女性は「収入が突然ゼロになり、子どもの学費用にためた貯金を崩して暮らしている」と涙を流した。四十代の男性は「家賃も払えず政府の住宅確保給付金を申請した」と話した。
 コロナ対策の特例で、雇用調整助成金を活用すれば企業は休業手当の四分の三まで助成を受けられる。だが指導員らが助成金の活用を求めても同社は耳を貸さなかった。インストラクターの大半は非正規とみられ、同社は非正規の人々の労働力に依存し収益を上げながら非常時に冷遇した。
 非正規で働く人に対する補償を巡る政府の対策不備も露呈した。労組などの相談窓口には今、非正規を中心に「休業手当が支給されない」との訴えが殺到している。多くの企業がコナミ同様「政府要請なので支給義務がない」と説明している。会社側の都合で社員を休ませる場合は手当の支給義務があるが、知事の要請で業務停止する場合は義務づけの根拠があいまいな点は以前から指摘されていた。しかし政府は抜本的な対策を講じていない。
 社員に直接、支援資金を支出する案も政府・与党内で検討されているが、中小企業だけを対象にする案が有力といわれる。総合サポートユニオンの坂倉昇平氏は「政府の救済策も不十分で後手後手に回っている」と指摘する。

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