土砂から戻った「絆」 熱海土石流で市消防団第4分団 流された写真など手元に

2021年7月26日 07時47分

見つかった写真を食い入るように眺める熱海市消防団第4分団の団員=熱海市伊豆山で

 今月三日に発生した熱海市伊豆山(いずさん)の土石流災害で、地区を管轄する市消防団第四分団の詰め所も土石流の直撃を受けた。土砂に埋もれたが、詰め所にあった写真や賞状が行方不明者の捜索活動の中で見つかり、団員の手元に戻った。思い出の詰まった写真との再会は、捜索支援に当たる団員たちの励みになった。(斎藤徹)
 「本当に戻ってきた」「懐かしい写真だな」。十九日、捜索現場に近い伊豆山の仲道公民館前で、団員らは泥まみれになった写真を整理しながら笑顔を見せた。見つかったのは、団員の集合写真や、市や県から贈られた感謝状など十点以上。詰め所で保管されていた。土石流で、泥まみれになったものも多い。
 行方不明者の捜索活動などに当たる県外の消防職員から「消防団(の詰め所)付近でたくさん書類が出てきた」と連絡があり、団員が受け取りに行ったという。千葉正宏分団長は「まさか戻ってくるとは」と感慨深げだ。
 三日午前十時すぎ、詰め所の三階にいた団員が「ザー」という音に気付いた。窓を開けると、土砂が押し寄せ、付近の道路をふさいでいた。スマートフォンで撮影し、すぐ分団のグループLINE(ライン)に投稿。住民に避難を呼び掛けるため、団員らは詰め所を離れた。詰め所は土石流にのみ込まれ、事務所や車庫にあったポンプ車が土砂に埋まった。
 発生直後は住民の救助に当たった。所属する三十五人にも避難を続ける団員や、知人や親戚が行方不明になった団員もいる。見つかった写真を整理していた団員の一木航太郎さん(21)は「写真には思い出が詰まっている。厳しい状況だが、写真でみんなが明るくなった」と話す。
 受け取った写真やアルバムには、分団とは関係のないものも交ざっていた。土石流で亡くなった人の写真もあり、市役所に届け出た。「おそらく他の住宅などから流されてきたのだと思う」と一木さん。「少しでも早く遺族のもとに戻ってほしい」と願う。

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