真 東京03探検隊 東京都水道歴史館 「人の暮らしを支えてきた、“水道”の歴史をたどる!」(後編)

2021年8月25日 09時50分

お笑いトリオ“東京03”が、大人の好奇心を満たすディープな世界に飛び込む!


お笑いトリオ「東京03」のメンバーが、これまで知らなかった未知なる世界に足を踏み入れ、さまざまな新発見と出合う人気の連載。
考古学、芸術、科学、サブカルなど、あらゆる分野に触れて見聞を広め、“デキる大人”としてのたしなみを磨きます!

キレイで安全な水を各家庭に届ける“水道”は、人々の暮らしに欠かせない重要なライフライン。しかし、その発展の歴史や仕組みについては、よく知らないという人も多いのでは? 誰もが毎日利用する身近なものであるからこそ、デキる大人としてはしっかりと把握しておきたいところ。東京03探検隊の3人が都内にあるディープな水道スポットに潜入!今回は、その後編です。

木から鉄へ。明治の新たな水道とは?


2階から1階へ。江戸から時代は進んで、続いては近現代の水道について学びます。フロア入口の特徴的なレトロな建物は、貯水池から水を引く取水塔の原寸大模型だそうです。

金子さん
「さきほどご覧になった江戸上水は、実は明治31年頃まで使われていました。しかし、川の水をただ引いてくるだけだったので、コレラなどによる水の汚染がだんだんと問題になります」
飯塚隊員「なるほど。ついに限界が来たって感じですね。そりゃ、あの木樋だけでは難しいよね」
金子さん
「はい。明治政府としてもちょうど明治維新を迎えていたので、新しい技術を取り入れた水道を引きたいと思ったわけです。しかし、お金がなかった。割と早く近代の水道技術を導入した横浜や神戸と比べて東京はだいぶ遅れて、明治25年にようやく工事がスタートしました」
角田隊員「それって、横浜や神戸はお金があったってことですか?」
金子さん
「まあ、東京と比べると工事の規模も小さかったというのもあったと思いますね」
「近代水道は、浄水場で沈殿・ろ過してキレイにした水をポンプで送ります。ポンプだと水圧がかかるため、木ではなく、このような鉄管を使用しました」と、金子さん。
飯塚隊員「へー、すごいじゃん! 明治になって技術が格段に上がってるね」
金子さん
「いや、これは実はイギリスやベルギーからの輸入品なんです。当時の日本では、やっぱりまだうまく造ることはできなかったんですね」
角田隊員「だよねー。いままで木樋しかなかったんだから、すぐには難しいよ」
金子さん
「最初は国産で作ろうとしたんですけど、不良品がたくさんできてしまって。納品の時に不正事件もあって結構な大問題になったんです。当時の知事が辞任するくらいの」
飯塚隊員「えー! それはなかなかの事件ですね」
金子さん
「はい、だから最初は輸入に頼ることになったんです」

豊本隊員「この手前の黒い鉄管は、ほかのものと比べても割とキレイですね」
金子さん
「それは国内で造られた現代の水道管で、今も地中に埋められているものです。初期のものと比べてメカニカルな造りになっています」
角田隊員「技術は着々と進化していくものなんですねー。ちょっと触ってもいい?」
金子さん
「いや、できれば遠慮していただけると(笑)」
飯塚隊員「角ちゃん、すぐ触りたがるから(笑)」

そして、明治31年に東京初の浄水場“淀橋浄水場”が完成。その後、給水範囲は徐々に拡大され、明治44年には当時の東京市のほぼ全域に、ポンプ式の近代水道網がひかれました。
金子さん
「淀橋浄水場は今の東京都庁が建っているあたりに位置していました。なので西新宿のビル街が丸々、淀橋浄水場の跡地になりますね。これは当時の様子を表した模型です」
飯塚隊員「へー、そんなところにあったんだ。今はほとんど面影が残ってないんだね」

金子さん
「ろ過、加圧されて出てくる水は、“文明開化の水”と呼ばれ、驚かれました。けれども、導入当初は町の人たちはあまり賛同していなかったみたいなんですね。“玉川上水で別にいいじゃん”って」
飯塚隊員「すごい消極的(笑)。でも、江戸の上水に慣れていたら、その気持ちも分からなくないよね。不安もあるだろうし」
金子さん
「そう。そこで水圧によって消火栓から噴き出る水で火を消すというデモンストレーションを行ったんです。“こんなに素晴らしいものですよ”と市民に知ってもらうために」
飯塚隊員「なるほど。それに説得力があったから工事が進められたんだ」
金子さん
「少なからず影響があったかもしれませんね」

ほかにも、1階フロアには興味深い展示物が目白押し。こちらは“馬水槽”と呼ばれる、馬用、犬猫用、人間用と、3つの水飲み場が設けられたユニークな水道栓。街なかを馬車が闊歩していた明治時代ならではのものです。
金子さん
「これはレプリカですが、実は本物は新宿駅前、アルタの向かいの広場に置かれています。意外とご存知ない方が多いんですよ」

飯塚隊員「えー、あったかなー? さんざん通ったけど(笑) 今度行ったら見てみよう」
角田隊員「こんだけインパクトあるのに、誰も見覚えないのか(笑)」

金子さん
「これは戦前に水道のキャンペーンを行った際に作った、歌謡曲の歌詞カードですね」
飯塚隊員「へー。角ちゃん、歌える?」
飯塚隊員に促され、意気揚々と歌い始める角田隊員
角田隊員「萌~える若草~、野はみどり~…」
※実際の歌声は動画でご覧ください。
飯塚隊員「おー、ぽいね~」
金子さん
「ぽいですね~(笑)。実際に聞いたことありますが、こんな感じでした」
角田隊員「いや、本当!? てか、ぽいってなんだよ(笑)」
そして3人は、フロアの中で一際存在感を放つ巨大な物体の前に。
豊本隊員「さっきから気になってたんだよな、これ…」
金子さん
「これは、現在都内で使用されている水道管のサイズ見本ですね。一番手前のものが都内で最大サイズのものになります。本物はもっと長いので、輪切りのサンプルです」

角田隊員「いや、デカッ!! 3メートルくらいあるよね?」
豊本隊員「この中を水が流れてると考えると、ちょっと恐ろしいね(笑)」
角田隊員「巻き込まれたらアウトだ」
飯塚隊員「だね」

困難を乗り越え、進化し続ける水道技術


江戸から現代まで、着々と発展し続けてきた東京の水道。しかし、それまでには干ばつや台風、戦争など数多くの困難がありました。
金子さん
「昭和15年、昭和39年の大渇水をはじめ、干ばつによる水不足との戦いは常にありましたね。近年はさすがにないですが、昔はよく大騒ぎになっていました」
角田隊員「昭和39年って、東京オリンピックの年ですよね?」
金子さん
「そうです。10月の開催時は大丈夫だったんですけど、8月頃までは都内は大変な水不足で、“東京サバク”と騒がれました」
飯塚隊員「そんな大変な状態だったんだ。東京オリンピックの年って」

豊本隊員「今、東京で干ばつ問題がほとんどないのはどうしてなんですか?」
金子さん
「水源の増大が大きいです。昔はほとんど多摩川の水を利用していたのですが、そんなに大きな川ではないので、だんだんと水が足りなくなってしまう。現在は多摩川の水を約2割、そして日本一流域面積の広い利根川の水を約8割で利用しています。ですので、昔と比べて水不足になる心配は格段に減っていますね」
飯塚隊員「なるほどねー。僕らが当たり前のように使っている水道には、いろんな困難があったわけですね」
金子さん
「はい。そして水道の供給が安定した現代でも、細かな管理やチェックは必要不可欠。これは漏水を検知する装置です。飯塚さん、ちょっと耳を当ててみてください」

飯塚隊員「なんだろう? ボーッて音が鳴ってる」
金子さん
「それが、水道管から水が漏れてるときの音なんです。プロの技術者が、その音を頼りに水道管の怪しい箇所をチェックして漏水箇所を発見します」
飯塚隊員「なるほど! でもなかなか聞き分けるのは難しいんじゃないかな?」

角田隊員「…うん、…うん。これは間違いなく漏れてるね」
飯塚隊員「いや、なんで角ちゃんが分かるのよ(笑)」

金子さん
「このような漏水発見技術の進化や整備の拡充などにより、戦争直後は約80%にまで悪化した東京水道の漏水率が、近年は約3%に。これは、世界的に見てもトップクラスの数値です」
飯塚隊員「へー、すごい! ただ、これを維持していくっていうのも大変なんでしょうね」
金子さん
「そうですね、水道管は劣化していくものなので。これをいかに維持し、また、向上させていくのかを考えることが大事だと思います」
以上で、水道の知られざる世界にふれる時間は終了! 
毎日利用する身近な水道ですが、江戸時代から現代にいたるまでの歴史を知ると、改めてそのありがたさが実感できますね。探検隊の3人にとっても、ミュージアムでのひとときは新発見の連続だったようです。
館内をご案内いただいた金子さん、そして東京都水道歴史館のみなさん、ご協力ありがとうございました!

取材協力/東京都水道歴史館
東京都水道局が運営する水道専門のミュージアム。規模・水質ともに世界有数の水準に達した東京水道の歴史や技術について、実物資料、再現模型、映像など、さまざまな展示物で紹介している。1階は近現代水道フロア、2階は江戸上水フロア。また、3階には水道関連の書籍を扱うライブラリーも備わる。
DATA
住所/東京都文京区本郷2-7-1
入場料/無料
TEL/03-5802-9040
営業時間/9:30~17:00(入館は16:30まで)
定休日/第4月曜休(祝日の場合は翌日休)
公式サイト
※新型コロナウィルス感染症の影響で、掲載したお店や施設の臨時休業および、営業時間などが変更になる場合がございます。事前にご確認ください。
取材の裏側をこちらの動画でご覧いただけます。これからも「真東京03探検隊」取材の様子をご覧になりたい方は、ぜひYouTube『東京新聞チャンネル』に登録してください!

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