「かぶる傘」は今どこに? 小池知事「ソリューション」とPRした五輪の暑さ対策グッズだが…

2021年8月2日 13時36分

2019年5月、五輪・パラリンピックの暑さ対策として「かぶる傘」をPRする小池都知事(右)=東京都庁で

 前々から心配されていた通り、東京五輪は最高気温30度超えの真夏日が続く中で開かれている。選手からも抗議の声が上がるが、屋外で活動するボランティアの熱中症も心配だ。2年前、小池百合子都知事が暑さ対策の「1つのソリューション(解決策)」と発表したのが、「かぶる傘」だった。大会本番では、活躍しているのか。(デジタル編集部・福岡範行)

◆ボランティア「ダッサいな」と思いつつ…

 真夏日に達した日の昼すぎ、聖火台がある東京都江東区の夢の大橋周辺を歩いた。都内の競技会場が無観客となった中で、都市ボランティアが屋外活動する数少ない現場だ。青色のユニホーム姿のボランティアたちが新型コロナウイルス対策を促すプラカードなどを手に持ち、見物客らに訴えている。
 被っているものを見ると、帽子、帽子、次の人も帽子。傘をかぶる人とは出会えないかと諦めかけつつ、夢の大橋を半分ほど過ぎたとき、向こう岸にポツンと立つ人に目がとまった。約150メートル離れていてもよく分かる、かさ地蔵のようなシルエット。間違いない、かぶる傘だ。

観覧自粛を呼び掛ける紙で顔を隠しながら、かぶる傘を使う女性ボランティア(右)=東京都江東区で

 近づくと、女性が「聖火台の観覧自粛をお願いしております」と書かれた紙で顔を隠していた。不思議に思い、仕事の邪魔にならないよう気をつけながら声をかけた。女性は、声をひそめて理由を教えてくれた。「かぶる傘は、ダッサいなと思っていて。人に会いたくないんです」
 暑さ対策で日傘も考えたが、自粛を呼び掛ける紙を両手で持つので、使いづらい。なので、集合場所で貸し出されていたかぶる傘を着けることにしたという。ユニホームとして着用が基本とされている帽子の上に、かぶる傘を重ねた。効果を実感するか尋ねると、女性は「遮光効果はあるのかな。信じるしかない」。ただ、疑問もあるという。無観客開催への変更で、担当する予定だった観客の誘導がなくなり、急きょ、自粛の紙を持つ業務に変わった。「でも、炎天下で誰かがこの紙を持つ必要があるんでしょうか。立てておけばよいのでは」と首をかしげた。

◆傘かぶりたいけど、帽子の上は…

東京都から支給された保冷剤で首を冷やし、熱中症対策をする男性ボランティア=東京都江東区で

 一方、帽子姿だった70代の男性ボランティアは本当はかぶる傘を着けてみたかったという。「いいなと思ったんですけどね。江戸時代みたいでしょ。でも、帽子の上にかぶるのは変かなと思って」と語った。熱中症対策は、保冷剤を首に固定するネッククーラーだ。都から支給されたという。熱中症対策では連続での屋外活動を1時間以内にすることや、冷えた飲料水、塩分補給用のタブレットの無償提供もあるという。男性は「運営は、よくやってくれていますよ」と担当者の苦労をねぎらった。

◆4000個用意、都担当者「有効に活用する」

 東京都オリンピック・パラリンピック準備局のボランティア担当によると、かぶる傘は1個1000円ほどで4000個を用意。屋外で活動するボランティアのうち希望する人に貸し出している。テストイベントで試した際、日差しを遮る効果は高い一方、風に弱く、強風で取れそうになるとの意見があったことから、荒天時の貸し出しはせず、日差しの強い日に貸し出しているという。
 準備局が7月23日に発表したボランティアの「新たな活動」によると、屋外での活動は聖火台周辺のほか、日比谷野外音楽堂(千代田区)で五輪を応援する特設サイト向けの配信作業サポートがある。観客を迎えて開催した場合には必要だった都内各地の会場周辺での活動に比べたら規模は縮小し、かぶる傘の出番も減りそうだが、準備局のボランティア担当者は「東京新聞は『縮小』と書いているが、私たちはそうは思っていない」と強調。感染症対策を徹底することを前提とした上で「希望する方に1人でも多く活躍の機会を提供できるよう、屋内、屋外区別せずに新たな活動を拡大するように努めている」と説明し、有観客での開催を想定して準備しているパラリンピックも含め、「(4000個のかぶる傘は)有効に活用していく」と述べた。

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