「競技普及させたい一心」で五輪ボランティアするけれど…納得できない待遇格差 無言で立つバイトは時給1400円 

2021年7月26日 20時43分
トライアスロンのコース沿道で自粛を呼び掛けるアルバイトスタッフの男性=東京都港区

トライアスロンのコース沿道で自粛を呼び掛けるアルバイトスタッフの男性=東京都港区

 東京五輪の運営スタッフに格差が生まれている。大会組織委員会が採用するボランティアは競技運営を担い、スキルや経験も有するが、支給されるのは日々の交通費のみ。一方、特別な能力を必要としないアルバイトスタッフは時給1000円超。ボランティアからは「無償を条件に応募したとはいえ、かなりブラック」と自嘲の声も出ている。(原田遼)

◆交通整理「訓練受けた人しかできない」


 26日午前6時半、東京・お台場の海と公道でトライアスロンが始まった。周回コースの沿道は観戦自粛が呼び掛けられたが、この日も人垣ができた。
 交通整備のボランティアの中に、競技の審判資格を持つ40代男性がいた。選手の自転車が横断歩道の200メートル手前まで来ると、男性は旗を揚げ、同僚がポールを移動させて横断歩道をふさぐ。自転車が通過したら元に戻して歩行者を通す。自転車は時速約50キロで迫るため、男性は「一歩間違えれば、大きな事故につながる。訓練を受けた人にしかできない」と話す。

◆終電で現場入りして安全確認、手当なし


 この日の集合時間は午前1時半。男性は終電で現場に入り、沿道の安全を夜通しチェックした。競技終了後の午前9時まで活動したが、手当はない。地方在住で航空券とホテル代の計約5万円は自腹だ。
 交通整理を担当するボランティア約100人のほとんどが、全国の競技会で顔を合わせる審判仲間。男性は「無償でも競技を普及させたい一心で集まる」。

◆派遣会社を通じてアルバイト確保


 同じ沿道には「観戦自粛」と書かれたプラカードを下げた人が数十メートル置きに無言で立つ。男子大学生は「アルバイトです。時給は1400円、深夜帯は1800円。ボランティアならやっていない」と語った。終電で現場に入り、未明は沿道に柵を設置する。勤務は午前10時までという。
 別の男性は「会社を辞めた7月に求人サイトで募集を見つけた。仕事は楽だし、求職中の身で1日1万5000円入るのはありがたい」と喜ぶ。
 組織委はボランティアを約7万人採用。加えて、派遣会社を通じてアルバイトを集めた。運営のための最低限の人数を確保するには、辞退の可能性があるボランティアだけでなく、雇用契約を結んだスタッフが必要だからだという。

◆ボランティア男性「そんなお金あるなら…」


 ただ無観客になり、一部のボランティアは配置転換の連絡もなく、待機状態で困っているのに、アルバイトは仕事をしている。ボランティアの男性は「そんなお金があるなら、少しくらい手当をつけてほしい」と嘆いた。

関連キーワード

PR情報

社会の新着

記事一覧