コロナ死者連日1000人超? 軍発表の数倍か 「医療が麻痺」実態把握できぬミャンマー

2021年7月26日 21時12分
ミャンマー・ヤンゴンで16日、遺体が運び込まれている火葬場。今月中旬以降、対応が追いつかないという=市民撮影、Khit Thit Media提供

ミャンマー・ヤンゴンで16日、遺体が運び込まれている火葬場。今月中旬以降、対応が追いつかないという=市民撮影、Khit Thit Media提供

 【バンコク=岩崎健太朗】ミャンマーの新型コロナウイルスの感染拡大が、悪化の一途をたどっている。国軍の保健当局の発表では7月中旬以降、1日の死者は200~300人で推移しているが、関係者は「医療が麻痺まひし、実態を把握できていない」と指摘。地元メディアは、ヤンゴン管区だけでも連日、火葬場に700~1000体以上の遺体が運び込まれていると伝えている。
 現地の情報によると、医療機関は受け入れ停止状態となり、重症でも自宅療養を強いられる患者が急増。ヤンゴンで医療支援活動をするシュエ・モンさん(43)は、患者のいる家庭から連絡を受け、不足する医療用酸素の確保に回るが「軍の病院などが優先され、厳しい状況だ」と明かす。インターネットでは酸素を求める市民の姿が拡散するが、国軍は「酸素不足はうその情報だ」と否定。その一方で、市民などへの供給を制限している。シュエ・モンさんは「当局は自宅で亡くなる人たちを死者数に含めていない。感染者や死者は氷山の一角だ」と訴えた。
 保健当局の25日発表の新規感染者は約5000人、死者は355人。検査件数に対する陽性率は4割に達した。国軍は外出制限を拡大し、封じ込めのために17~25日まで設けた休日を1週間延長した。
 国軍に対抗する民主派の挙国一致政府は、国際社会に緊急支援を要請。クーデター前までコロナ対策の責任者を務めていた医師で保健相のゾー・ウェイ・ソー氏は「感染力が強い変異株が拡大しているが、国軍は効果的な管理ができていない。毎日1000人以上が亡くなっているとみられ、30万~40万人に達する恐れがある」と警告する。
 国軍への抗議などで逮捕された市民が収容されている刑務所でも感染が拡大し、20日には、ヤンゴンのインセイン刑務所から病院に移送されていた国民民主連盟(NLD)幹部でアウン・サン・スー・チー氏側近のニャン・ウィン氏(78)が死去。地元メディアは、23日に同刑務所内でコロナ対応などの改善を求める抗議が起き、兵士の発砲で20人が殺害されたと報じた。現地の人権団体「政治犯支援協会」は、国軍に抵抗し、身を隠しながら治療に当たる医療従事者らの逮捕、拘束が相次いでいると指摘。「コロナ禍に乗じ、人道への罪を重ねている」と非難している。

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