バイデン政権の国務省高官が初訪中も互いに強硬姿勢 中国、米に「仮想敵視」の変更要求

2021年7月26日 22時48分
26日、中国・天津で、中国政府と会談を行うシャーマン米国務副長官(左から3人目)=AP(フェニックス・テレビの映像から)

26日、中国・天津で、中国政府と会談を行うシャーマン米国務副長官(左から3人目)=AP(フェニックス・テレビの映像から)

 【北京=中沢穣、ワシントン=金杉貴雄】シャーマン米国務副長官は26日、中国の天津市を訪れ、中国の王毅おうき国務委員兼外相らと会談した。米国務省によると、シャーマン氏は香港や新疆ウイグル自治区などでの人権問題を提起。中国外務省によると、中国側は「米国の一部は中国を仮想敵と見なしている」と非難し、「極めて危険」だとして対中政策の変更を求めた。
 1月のバイデン政権発足後、米国務省高官の訪中は初めて。両国は、10月にイタリアで行われる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた米中首脳会談を模索しているが、中国側が3月の米アラスカ州での外交トップ会談と同じく、強硬姿勢を前面に出したことにより、米中関係は双方が強硬な態度を競う厳しい局面が当面続きそうだ。
 米側によると、シャーマン氏は中国側に対し、香港の民主派弾圧や、新疆ウイグル自治区でのジェノサイド(民族大量虐殺)、チベットでの人権侵害、サイバーや台湾海峡、東・南シナ海での中国の行動に懸念を伝達。新型コロナウイルスの発生源に関する追加調査も要求した。対中競争を強化するが紛争は求めていないとし、気候変動や核不拡散、北朝鮮問題などでの協力の重要性も強調した。
 中国側によると、謝鋒外務次官は「中国を悪魔に仕立て上げ、米国全体が中国を抑圧しようとしている」と米国内の中国脅威論を非難。「誤った態度を改め、相互尊重と公平な競争を選ぶべきだ」とも訴えた。さらに中国共産党員と家族へのビザ制限撤廃や、各種制裁の解除、中国企業への圧力停止などを要求した。
 中国側は国務省ナンバー2のシャーマン氏の会談相手は外務次官の謝氏であると位置付けたが、米側は王氏との会談を重視した。王氏は中国外交を統括する楊潔篪ようけつち共産党政治局員に次ぐ立場で、謝氏の地位はさらに下がるためだ。
 米中外交当局者の直接対話は、外交トップが激しい応酬を交わした3月の会談以来。米中双方ともに緊張緩和に向けた動きは乏しく、米政権は同盟国を巻き込んだ「中国包囲網」の形成に注力し、複数の制裁を発動。一方の中国は23日に反外国制裁法を初めて適用してロス前商務長官らに制裁を科した。

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