やまゆり園事件5年 今年も献花絶えず 「障害者軽視変わらず」

2021年7月27日 07時15分

慰霊碑に献花する山根千尋さん。事件の風化を懸念しているという=いずれも相模原市緑区で

 相模原市緑区の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら四十五人が殺傷された事件から五年となった二十六日、新園舎に設置された鎮魂のモニュメント(慰霊碑)に市民や関係者らが続々と訪れ、花を手向けた。献花者は犠牲者の冥福を祈る一方、社会に根深く残る障害者への偏見や事件の風化に対するもどかしさも口にした。(酒井翔平、村松権主麿)
 地元自治会でつくる相模湖地区自治会連合会の長谷川兌(とおる)会長(74)は「安らかにお眠りください」と願った。新園舎の入所が八月一日に始まることには「地域はできるだけ早く再建してほしいと思っていた」と歓迎し、「みんながやっと戻ってこられて良かったね」と慰霊碑に語りかけたと明かした。
 亡くなった人数と同じ十九本の花を一本一本献花した大和市の社会福祉士、平岡祐二さん(61)も「寂しかったけど、みんな帰ってくるね。良かったね」という思いを込めたという。

犠牲者の人数と同じ19本の花を1本ずつ献花する平岡祐二さん

 「障害者を軽視する社会の風潮がこうした犯罪が起きた原因だったと思う」と語るのは特別支援学校の元教諭、柴崎愛子さん(28)=東京都八王子市。ネット上では今も植松聖(さとし)死刑囚(31)の差別思想に同調する書き込みを見かけるといい「残念だが、社会の風潮は大きく変わっていない。二度と事件が起きないように差別反対の声を上げ続けたい」と慰霊碑に誓った。
 障害がある兄を持つ大学生の山根千尋さん(23)=同市=は、二年ぶりに献花に訪れた。「前回よりも花の量が減った気がする。私にとっては忘れられない日だが、みんなにとってはそうではないのかな」と事件の風化を懸念した。
 次女が障害者施設に入所し、「神奈川県重症心身障害児(者)を守る会」の顧問を務める相模原市緑区の伊藤光子さん(79)も風化を心配する。「それぞれの人が、もっと生きたかった人たちの思いを忘れず、人間として恥ずかしくない生活を送るのが大事だと思う」と語った。

献花する入所者家族会の大月和真会長(左)、津久井やまゆり園の永井清光園長(右)ら


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