<ルポ・コロナ禍のオリンピック>伊豆半島で初開催 観戦客続々 バス予約で混乱も 駅前や温泉街は閑散「恩恵期待できない」

2021年7月27日 07時21分

修善寺駅近くの乗り場から競技会場行きのシャトルバスに続々と乗り込む観戦客=いずれも伊豆市で

 東京五輪自転車マウンテンバイクが二十六日、伊豆市の伊豆マウンテンバイクコースで始まり、伊豆半島が初めて五輪会場となった。伊豆箱根鉄道修善寺駅(伊豆市)では熱戦に期待する観戦客の傍らで、会場に向かうシャトルバスの予約を巡りボランティアが混乱する場面も。一方、競技中の駅前や温泉街は閑散とし、関係者からは「恩恵は期待できない」との声も漏れた。(渡辺陽太郎、篠塚辰徳)
 午前九時半すぎ。JR三島駅前(三島市)には、民間のツアー会社の観光バスで修善寺駅に向かう観戦客約百二十人が集合。改札口で日差しを避けたり、駅前に設置されたミストシャワーで涼んだりしていた。一時的な密状態も見られた。
 修善寺駅は午前十時半すぎから観戦客が増えた。神奈川県から来た会社員二人組は「コース周辺を歩きながら観戦する。僕らも体力勝負」と、はやる気持ちを抑えられない様子。一方、焼津市の夫婦は「世間の目もあるので、観戦は秘密にしてます」と話した。
 シャトルバスは事前予約制。多くの人は受付で予約票を見せ、乗車を待っていた。だが正午前、ボランティアが焦った様子で受付に。「予約をしていない客がいると連絡が入った。乗れるのか」。受付係は大会組織委員会に電話していた。
 組織委によると観戦客には複数回、予約が必要とメールで連絡、予約なしでも空きがあれば乗車できるという。
 ただあるボランティアは「下見に来た観客からも予約について聞かれた。携帯やパソコンに不慣れな人はメールを見逃す。組織委から私たちに対応策の指示はない。自分で調べて案内した。丸投げだ」と憤った。
 観戦客からも不満が。東京都の七十代男性は駅でスタッフに「何時くらいに会場を出られるのか」と尋ねたが、「分からない。現地で確認を」と言われたという。「行き帰りの時間は基本情報。これだけスタッフがいてなぜ分からないのか」
 観戦客の多くは市の用意した記念品やうちわを受け取り、笑顔で駅を出発。午後一時を過ぎると、にぎわいは消えた。近くで飲食店を経営する六十代男性は「開催地として悲しい。経営は苦しく、喜んで観客を迎えたい。でもコロナも怖い。もどかしい」と複雑な心境を話した。
 数キロ離れた修善寺温泉も閑散としていた。修善寺温泉旅館協同組合によると、東京都への緊急事態宣言発令や熱海市の土石流災害の影響で、キャンセルが相次いでいる。担当者は「普段より静かな夏になってしまった。五輪の恩恵はないでしょうね」。
 遊技場を経営する七十代男性は「温泉街は自分たちの努力で感染者を出さず、常連客の信頼を勝ち取ってきた。これからも一緒だ。五輪には期待していない」。五輪の旗は、温泉街にはほとんどなかった。

五輪の恩恵がなく閑散とした修善寺温泉の商店街


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