熱海土石流 市が270軒に避難指示 台風8号接近 二次災害に備え

2021年7月27日 07時21分
 熱海市伊豆山の土石流災害で市は二十六日、台風8号の接近に伴う二次災害に備え、伊豆山の一部の地区、計約二百七十軒を対象に災害対策基本法に基づく避難指示を出した。(山中正義)
 被災した仲道、岸谷、浜の三地区のうち、災害による立ち入り禁止区域などを除いた一部が対象。被災状況や自治会長らの意見などを踏まえて決めた。同日午後一時に発令し、同報無線や消防団員による家屋の巡回などで周知を図った。
 避難所は三地区のホテルなど計四カ所。岸谷地区の避難先となった保養所「熱海リフレッシュセンター」では、発令後の明るいうちから数人が集まった。市によると、午後三時現在で避難所四カ所に計二十九人が避難した。
 高齢の母親と避難した無職菊地正敏さん(54)は「自分だけなら大丈夫でも母もいたので早めに来た」と話した。ホテルでの避難生活を終えたばかりで「仕方ないけど大変」と吐露した。
 市は三日の発災前は、体の不自由な人に避難を呼び掛ける「高齢者等避難」を出していたが、その後の雨量予測や土壌の水分含有量などを判断材料に「避難指示」の発令を見送った。
 斉藤栄市長は「降雨量によっては小崩落もある。明るいうちの早めの避難が必要と判断した」と説明。「一回被災した地域なのでこれまでの普通の対応では適切でない。空振りと批判されるかもしれないが、やる必要がある」と強調した。
 被災現場では、倒壊家屋の密集地域を中心に消防や警察などが総勢七百人態勢で捜索を続けたが、新たな人は見つからなかった。死者は計二十一人、行方不明者は計六人。

◆「再建に向け第一歩」 被災者相談窓口が開設

罹災証明書の申請に訪れた相談者(手前)=熱海市で

 熱海市伊豆山で発生した土石流災害の被災者らを対象にした被災者相談窓口が二十六日、市総合福祉センターに開設された。生活再建の相談に乗るほか、公的支援を受けるのに必要な罹災(りさい)証明書などの申請受け付けが本格化する。
 窓口は同センター三階の大広間と多目的ホールに設置。罹災証明書などの申請・発行のほか、仕事や暮らしの生活相談、車の無料貸し出し、情報コーナーなどの各ブースがある。市職員や県内市町から派遣された応援職員らが対応する。
 罹災証明書の申請を終えた同市伊豆山の無職男性(52)は「再建に向けて第一歩を踏み出せた。前向きで頑張れるかな」と話した。男性宅は水道管が破裂して水浸しになり、避難所のホテルで暮らしている。
 罹災証明書は住家が被害を受けた場合に、自治体が被災者の申請を受け発行。生活再建の支援金や税・保険料の減免などの公的支援を受けるのに必要となる。
 被災地の立ち入り禁止区域内にあり、土石流で全壊したり流されたりして被害が明らかな家屋約五十軒を対象に、市は二十一日から先行して申請を受け発行を始めた。二十四日までに三十五世帯に発行した。(山中正義)

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