「これはワクチン未接種者間のパンデミック」米国でコロナ再拡大、感染者が1カ月前の4倍に

2021年7月27日 19時33分
【ニューヨーク=杉藤貴浩】米国で新型コロナウイルス感染が再拡大し、1日当たりの新規感染者は4万人超と1カ月前の4倍に迫っている。ワクチン接種が足踏み状態にある中、伝播性の高いデルタ株が広がっているのが原因だ。ワクチンへの抵抗感や懐疑論は根強く、政府や自治体は26日、事実上の接種義務化など促進策を相次ぎ打ち出した。

◆ワクチン接種、国民の半数届かず

米ニューヨークの自然史博物館で22日、ワクチン接種後に博物館職員から無料の入場券を受け取る親子=AP

 「間違った方向に進んでいる」。バイデン政権の医療顧問トップ、ファウチ国立アレルギー感染症研究所長は25日、米CNNテレビの番組で米国の感染拡大に警鐘を鳴らした。ファウチ氏はとりわけ「これはワクチン未接種者の間のパンデミック(世界的大流行)だ」と強調。ワクチン接種を済ませた国民が49%強と、いまだ半数に届かない状況にいら立ちを見せた。
 実際、接種を終えた人の割合は直近の2カ月間、40%台で停滞。30%台を通過するのには約1カ月しかかかっておらず、上昇ペースの鈍化は明らかだ。その間にインド由来のデルタ株が広がり、25日までの1週間の1日平均死者は239人と今月上旬の1・5倍の水準に悪化した。

◆陰謀論、反ワクチン、不信感

 国内ではワクチンについて、なお「遺伝子情報を組み換えられる」「不妊になる」といった陰謀論や偽情報がネットを中心に拡散。共和党支持者を中心に「接種しない自由」を重んじる風潮も強い。米疾病対策センター(CDC)によると、白人中心の医療制度に不信感の強い黒人は、ワクチン接種を済ませた割合が白人の7割強にとどまる。
 このため、米最大都市ニューヨーク市は26日、教師や警察官らを含む職員約34万人に対し、ワクチン接種を受けていない場合は毎週コロナ検査を求める方針を決定。頻繁な検査という負担を課すことで、接種を強く促す施策に踏み切った。デブラシオ市長は記者会見で「ニューヨークが復活するためにしなければならないことだ」と訴えた。
 同日には、人口最多の西部カリフォルニア州も「州最大の雇用主として模範を示す」(ニューサム知事)と述べ、同様の施策を発表。退役軍人省は省内の医療従事者ら11万5000人に対し、連邦機関として初めてワクチン接種を義務付けることを決めた。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、未接種の状態で2カ月の猶予期間を過ぎた場合、解雇を含む罰則が適用される可能性があるという。

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