来なかった逆転の波…五十嵐カノア悔しい銀 目標のサーフィン初代王者逃す

2021年7月27日 21時20分
 台風8号の接近を受け、海は深く濁っていた。対照的な、輝くような笑い声がはじけることを誰もが願っていたが、かなわなかった。サーフィン男子の五輪初代王者を狙った五十嵐は「目標に近いが目標ではなかった」と銀メダルに悔しさをにじませた。

男子決勝で波を攻める五十嵐カノア=釣ケ崎海岸サーフィンビーチで

◆大技出せず機会待ったが

 決勝の開始直後。波に乗った世界王者のブラジル選手の板がいきなり折れてしまう。波の威力を物語っていた。波は強くても、波形は頂点で割れたり崩れたりして、サーファーにとって好条件ではなかった。少ないチャンスをライバルがものにし、次々と加点する。残り時間が減っていく。五十嵐は逆転を狙って大技を出せる波を待ったが、ついにそのときは訪れなかった。
 国籍登録変更までし、挑んだ五輪。懸けてきた思いは強かった。7月中旬、日本にたつ前日。大荷物を詰める手が止まった。普段、最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)など大会には12種類の板を持って行く。だが、「五輪は特別」と、19本に増やすつもりだった。
 それは正解なのだろうか。悩んだ。出した結論は「同じルーティンにしよう」。いつもと同じ数、同じ種類の板と、同じ洋服を、同じケースに詰めた。5カ国語を操る23歳は、験を担いだ。

◆初の五輪でアピール

 表彰台の最も高い所には届かなかった。ただ、この日の初戦で波がつくった「チューブ」という輪をくぐったり、準決勝で空中で横に360度回転する大技を決めたり。初の五輪という注目の舞台で、サーフィンの魅力を存分に伝えた。その価値は大きい。 (多園尚樹)

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