柔道金の永瀬貴規、“オレ流”落合博満氏の著書から学んだ「自分を貫く大事さ」

2021年7月27日 21時46分
 戦い方も心も、まるで柳のような、しなやかな強さだった。27日に行われた東京五輪の柔道男子81キロ級は、永瀬貴規(旭化成)が金メダルを手にした。「リオ五輪で悔しい思いをして、5年間つらい時間のほうが長かった。やってきてよかった」。普段無口で感情を表に出さない男が、汗と涙を袖で拭った。

◆激戦階級で勝ち残る武器は鉄壁の「受け」

 リオ五輪では重圧に押しつぶされ、銅メダル。だが、この日はマイペースを貫き、難敵を次々と撃破した。準決勝は世界王者のカスに低い姿勢からの背負い投げ。この1年で習得したが、試合で出せなかった技だった。「やっと出たな」。井上康生監督の言葉にほほえんだ。決勝は5分半が過ぎ、モラエイに疲れが見え始めた。「よし、自分のターンだ」。足車で屈強な相手を転がし、勝負を決した。

男子81キロ級決勝 モンゴルのサイード・モラエイを破って優勝した永瀬貴規=日本武道館で

 パワーと技術が必要な男子81キロ級は世界的に層が厚い。勝ち続ける選手が現れない激戦階級。永瀬は長い手足と懐の深さを生かし、海外勢の力任せの攻撃をかわす。粘って長期戦に持ち込み、隙を突いて攻める。5試合中4試合が延長戦だった。
 絶対的な自信があるのは「受け」だ。男子73キロ級で連覇を果たした所属の先輩、大野将平が「あいつは投げられない。一番強い」と言うほど、つかみどころがない。永瀬は「受け方が一つ一つあって、(技を)掛けられる前にどう対応するかで防げる」と話す。

◆初日から男子全員金も重圧にせず「僕は僕」

 自らの性格を「マイペース」と分析する。金丸雄介コーチから読書を勧められ、元サッカー選手の内田篤人さん、プロ野球中日の落合博満元監督の著書を読んだ。「周りの目を気にしない。どんな状況でも自分のペースで、こうだと思ったら貫き通すことは大事」と再確認した。
 男子は初日から金メダルが続き、出番が回ってきた。5年前ならプレッシャーに負けていたかもしれない。しかし、今は違う。「僕は僕だと思っていた」。柳に風。試合さながら、受け流した。それが永瀬の強さなのだろう。(森合正範)

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