大学ファンド「高度な運用技術が必要」 財政規律の緩みにも懸念

2021年7月28日 06時00分
 世界トップレベルの研究力を持つ大学づくりのために創設する10兆円規模の大学基金(ファンド)について、内閣府は27日、運用目標や制度設計の中間報告をまとめた。運用開始から5年以内に3000億円の運用益を目指す。

◆専門家も認める高いハードル

 大学基金(ファンド)は高い運用益を出し、毎年大学に資金を支出する必要がある。当面は資金支出の必要がない公的年金と比べ、ハードルは高い。専門家会議の下部組織で資金運用の基本的な考え方をまとめた検討会議の伊藤隆敏座長も「高度な運用技術が必要になる」と認める。
 利回りを求めて、安全資産の債券と、よりリスクはあるが利回りの良い株式の割合は35%対65%に設定した。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の50%ずつより株式の割合が高く、株価下落時には評価損が発生しやすくなる。
 検討会議のこれまでの議論で、コロナ・ショックの際に株を買い、後に株価の回復局面で大きな利益を得た海外のファンドの事例が報告された。伊藤氏も「世界の常識」としたが、毀損が許されない公金の運用で、評価損が出ている時に買い増す判断が機動的にできるか、世論が反対した際にどう説明責任を果たすかは大きな課題だ。

◆今回限りの「特別対応」

 大学ファンドについては元本として本年度までに4兆5000億円が確保されている。ただし、先に予算を確保してから、制度の詳細を詰める手法について財政当局は「本末転倒」と批判してきた。
 財務省が特に懸念するのが財政規律の緩みだ。予算がないなら運用益で賄えばいいという考えが波及するのを恐れ、元本のうち5000億円は金貨鋳造用に備蓄していた金の売却益を充てるという異例の手法を編み出した。「今回限りの特別対応」との意思表示だ。本年度内にめどを付けるという元本の10兆円への積み増しも一筋縄でいきそうにない。財務省幹部は「海外の大学のように寄付金を自己責任で運用するなら何の問題もない。公金を運用する以上、様子を見ながら慎重に進めるべきではないか」とくぎを刺す。(森本智之)

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