ソフトボール連覇! エース上野由岐子「413球」から13年、進化する感性で輝き再び

2021年7月27日 22時37分
 ソフトボール決勝で日本が1次リーグで敗れた米国を2―0で下し、前回実施された北京五輪以来13年ぶり2度目の金メダルを獲得した。

ソフトボール決勝 米国を破って優勝を決め、歓喜の上野(右から2人目)、後藤(同5人目)ら日本ナイン=いずれも横浜スタジアムで

◆「投げられなくなるまで」の決意

 13年の時を超え、再び歓喜の中心には鉄腕がいた。この試合、上野が投じた89球目。「投げられなくなるまで、絶対に投げてやる」。大会を通じて計389球目は力強く、打者の内角をえぐった。浅い飛球が捕手のミットに収まる。喜びの輪がマウンドの近くにできた。試合中、味方が得点を挙げても厳しい表情を崩さなかったエースが破顔した。
 一回、2度の暴投で2死三塁のピンチを招く。いきなりの窮地で、逆にスイッチが入った。ギアを上げて三振で切り抜けた。

優勝を決め、ガッツポーズする上野

◆「自分は日々進化している」

 39歳を迎えてなお、輝きを放ち続ける。己の体への深い理解と対話がその秘訣ひけつだ。プロ野球選手も担当する鴻江寿治トレーナーが明かす。1年ほど前、上野のもとへ用具メーカーの担当者がきた。最新のアンダーシャツの着心地を試してほしいという。だが、着てみた上野の顔はすぐれない。「投げるのは私。服が投げさせようって私の邪魔をしてくる。何の機能も付けないでください」
 大会前から、決勝を含めた2日間の3試合で413球の熱投を見せた北京五輪を引き合いに、「あの時のような投球はもうできない」と話していた。自らの衰えを認めた言葉ではない。「日々、自分の中では進化していると思ってやっている」。経験や引き出しが増し、26歳の当時はできなかった投球を、今ならできるという自負心がある。

◆最後の場面、再びマウンドへ

 六回の先頭打者を出した場面で、後藤にマウンドを譲った。客席で見守ったイタリアやカナダの代表チームが席を立って拍手でねぎらった。若き後継者との世代交代を実感させる中で最終回、再び上野はマウンドへ上がった。ソフトボールならではの再出場。ここまで日本をけん引してきたエースに対する、宇津木監督の深い愛情を感じさせた。
 エースは五感を研ぎ澄ませ、魂を込めたボールで締めくくった。再び、日本中に感動を呼んだ。 (多園尚樹)

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