上野から託されたバトン 日本ソフトボール最強伝説は続く、再び五輪に帰ってくる日を信じて

2021年7月27日 23時22分

米国を破って優勝を決め、胴上げされる宇津木監督=いずれも横浜スタジアムで

 13年ぶりにソフトボールの日本代表が、五輪の舞台で頂点に立った。東京五輪で27日、米国に勝って優勝した日本。次回パリ五輪で再びプログラムから消えるが、いつかまた復活する日へ、この試合が未来への懸け橋となる。

◆あの「413球」を追い続けた選手たち

 2008年の北京五輪。上野由岐子(39)が連投した「413球」に象徴される金メダル。今の代表選手の大半は、あの興奮と歓喜を原動力にして夢を追い掛けてきた。
 ソフトボール界が置かれた現状は当時と重なる。再復活へ「(東京五輪は)ソフトの魅力を伝えるために大事な大会」と多くの選手が現状をかみしめていた。

日本―米国 2回表1死、山崎が左翼へ二塁打を放つ

 俊足強打の山崎早紀(29)もその1人。中学時代に部員不足で他校と合同チームを組んだ苦い思い出があり、現在は廃部に。「自分たちのプレーを見て、(ソフトを)やりたいって子どもが増えたら」

◆若き左腕・後藤が受け継ぐもの

 日本をけん引してきた絶対的エース、上野の後を誰が継ぐか。長年の課題への答えも、今大会で見つかった。1次リーグで圧巻の投球を見せ、決勝でも1回を無失点で抑えた後藤希友みう(20)。指揮官は「上野に重なって見えた」とまで持ち上げた。19年秋。五輪の舞台、福島市の県営あづま球場での日本リーグ。上野投手は若き左腕と先発で投げ合った。結果は先輩に軍配が上がったが、高卒1年目で球速110キロ超の直球で押す姿に胸が熱くなった。「これで安心して世代交代を迎えられるのかな。ほっとした」。上野は後に周囲に当時の心境を明かしている。

優勝を決め、上野(左)に声を掛けられ涙ぐむ後藤

 予感は当たった。「物おじせず、ありのままの後藤の姿を出してくれればいい。ただただ五輪を肌で感じてほしい。それが次につながっていく」。上野の期待を超え、未来のエースは試合を重ねるごとに大きく飛躍した。東京五輪でのソフトボールは、次代につながる種をまいて大団円を迎えた。 (多園尚樹)

表彰式で笑顔を見せる上野(中央)ら

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