冷えきった母娘の関係修復描く 台湾映画「日常対話」 東中野で31日から上映

2021年7月28日 07時16分

母アヌ(左)と娘のホアン・フイチェン監督(映画「日常対話」から©Hui−Chen Huang All Rights Reserved.)

 冷えきった母娘関係を修復していく過程を追った台湾のドキュメンタリー映画「日常対話」が三十一日から、中野区のミニシアター「ポレポレ東中野」で上映される。ホアン・フイチェン監督(43)は、自分と母親との関係を取り上げ、作品は、台湾社会のLGBTなど性的少数者を取り巻く環境や貧困、女性の生きづらさの問題にも触れている。(奥野斐)
 「一番見てほしいのは親子関係。一人の人間を理解することの重要性だ」。ホアン監督はこう語る。
 母アヌは一九五〇年代生まれ。女性しか愛せないと自覚しつつも、父親を中心とした「家」制度が残る時代に家族が薦める男性と見合い結婚。娘二人を出産後、夫の暴力により子どもを連れて家を出て、台湾土着の死者の魂を鎮める道士の仕事で生計を立てた。しかし母は娘に構うどころか、友人や恋人と出かけてばかり。娘は稼業を手伝うため小学校を退学、親子の溝は深まる。
 ホアン監督は「カメラを向けることで母とコミュニケーションを取りたい」と撮影を始め、ホームビデオを含めた記録は一九九八年〜二〇一五年に及んだ。映画は、台湾のホウ・シャオシェン監督が製作総指揮を務めた。
 台湾では二〇一九年、アジアで初めて同性婚が認められた。今ではLGBTを扱った小説や映画も多く、作品を通じて人々の認識や理解も広がっている。自分のことを話したがらなかった母は、作品の終盤、娘と向き合う。娘が秘めてきた思いを語る時、母がどう受け止めるかも見どころだ。
 現在の親子関係について、ホアン監督は「それまでは壁があるようで母に感情や考えを言うことができなかったけど、今は素直に言える」と語る。母は映画の上映初日にテーブルいっぱいにごちそうを作ってくれ、その後はそれまで外で会っていた友人を自宅に招くようになったという。ホアン監督は「やっとお母さんの世界に参加できるようになった」と笑顔を見せる。
 三十一日の上映初回には監督のオンライン舞台あいさつも予定。映画は全国で順次公開される。

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