ソフトボール決勝、上野由岐子を再登板させた宇津木監督の信頼 「顔面蒼白」の後輩助けた39歳

2021年7月28日 12時00分
 13年ぶりに復活した五輪の舞台で、連覇を達成したソフトボール日本代表。27日に行われた東京五輪の決勝で、2008年北京五輪の決勝と同じ相手、宿敵の米国を2―0で退けた。最高潮を迎えたのは2点リードで迎えた最終回、一度はベンチに退いたエース上野由岐子(ビックカメラ高崎)が、再びマウンドへ向かった場面だった。

◆金メダルのプレッシャー、耐えうるのは

米国との決勝戦で力投する上野

 「投げられなくなるまで、自分が投げきってやる」。決意を込め、口を固く結び、白いグラブを手にベンチを飛び出す。無観客でなければ、きっと地響きのような歓声が巻き起こっていただろう。
 先発したこの日、六回の先頭打者に安打を許したところで、20歳の若き抑え役、後藤希友(トヨタ自動車)にマウンドを譲っていた。後藤はピンチを広げながらも、野手の好プレーに助けられ何とか無失点で切り抜けた。
 ただ、上野が試合後、「後藤が顔面蒼白(そうはく)でいっぱいいっぱいだった」と振り返ったように、指揮官も不安を募らせた。左腕は金メダルが懸かるプレッシャーに耐えうるか。宇津木監督の答えはすぐに出た。「一番経験があり、ずっと日本を引っ張ってきた上野しかいない」

◆燃え尽きていた上野、灯をともした宇津木

 北京五輪の後、ソフトボールが五輪から除外されたこともあり、上野は燃え尽きていた。一時は日本代表の活動からも距離を置いた。だが東京五輪での復活が決まり、指揮官に宇津木が就くことが決まった。アテネ五輪をともに戦った所属の先輩で、幾多の苦楽をともにした存在。だからこそ、再び上野の心に灯がともった。

優勝を決め、上野(右)と抱き合って喜ぶ宇津木監督=いずれも27日、横浜スタジアムで

 監督の期待に応え、最終回は4番から始まる相手打線を3人で締めた。「最後、こうやって恩返しができて本当に良かった」。感動と熱気に包まれた試合直後のグラウンドで、2人は固く抱き合った。(多園尚樹)

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