五輪開会式のNHK生中継、会場にはいたのに手話通訳を映さず 聴覚障害者が改善要望

2021年7月29日 06時00分

開会式で打ち上げられた花火に照らされた無観客の国立競技場=23日夜、国立競技場で

 
 23日に行われた東京五輪開会式の生中継で、NHKが手話通訳を画面に表示しなかったことに、ろう者らが落胆している。会場の国立競技場には手話通訳者がおり、スクリーンには字幕とともに手話通訳も映されていた。当事者らは、閉会式やパラリンピックの開閉会式では画面に表示するよう要望し、NHKも検討を始めた。

◆4時間手話なし

 約4時間の生中継には終始、手話通訳はなかった。東京五輪・パラリンピック組織委員会によると、本来いるはずだった観客向けに手話通訳者が会場に配置され、橋本聖子会長らのあいさつなどを通訳していた。
 全日本ろうあ連盟は22日、組織委やNHK、日本民間放送連盟などに対し、五輪・パラの開閉会式の放映で手話通訳を付けるように要望書を出していた。聴覚障害の当事者らによる団体「NPO法人インフォメーションギャップバスター」理事長でろう者の伊藤芳浩さん(50)=川崎市=は開会式翌日の24日、NHKなどに、「情報提供での合理的配慮を」と要望書を出した。

テレビ放送での手話通訳の必要性を手話で訴える伊藤芳浩さん=東京都内で

◆「字幕だけでは不十分」

 画面に字幕を出せる番組は増えたものの、生放送では数秒遅れてしまう。伊藤さんも開会式を字幕付きで見たが、パフォーマンスの解説と映っている内容にずれが生じ、理解に苦労した。「すべての競技中継では難しいかもしれないが、開閉会式など大事なときには付けてほしい」と話す。手話を使うろう者の中には日本語の理解が苦手な人もおり「字幕だけでは不十分」とも訴える。
 開会式を含め五輪の映像は五輪放送サービス(OBS)が制作し、世界の放送局が同じ映像を流している。NHK広報局は取材に、手話通訳が画面になかった理由を「映像をそのまま使い、その映像に手話通訳者の映像がなかったため」と説明。閉会式やパラリンピックの開閉会式では「会場の画面に映る手話通訳の方を撮影する専用カメラを用意するなどして、手話通訳を放送でもご覧いただけるよう検討を進めている」と回答した。(神谷円香)

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