五輪開会式で弁当4000食分を廃棄 食品ロスを「レガシー」は掛け声倒れ…

2021年7月28日 20時36分
無観客の中で行われた東京五輪の開会式で、入場行進する日本選手団=23日夜、国立競技場で

無観客の中で行われた東京五輪の開会式で、入場行進する日本選手団=23日夜、国立競技場で

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は28日、東京・国立競技場で23日に開催された五輪開会式の際、スタッフやボランティアに用意した弁当など1万食分のうち、約4000食分が消費されず、処分したと明らかにした。他の競技会場など全体でも、約2~3割の食品が余る状態だったことを確認したという。(小嶋麻友美、原田遼)

◆見積もりに甘さ

 組織委は大会前、「持続可能性に配慮した運営計画」を策定し、「食品ロス対策を進めるためのレガシー(遺産)とする」とアピールしていたが、取り組みは形骸化した格好だ。
 高谷正哲スポークスパーソンは今週以降、データに基づき発注量の適正化を進めているとし、「多くの食品ロスが生じていたことについておわび申し上げたい」と陳謝。需要の見積もりの甘さを認めた。
 開会式については「スタッフが多かったので発注量も多かった。食べなかった人がたくさんいたというのに尽きる。時間に追われながら勤務したり、早めに済ませて業務に臨んだりした人もいたのでは」と述べた。余剰分は「基本的に飼料化リサイクル、バイオガス化している」と説明した。

◆「発注見直しを」

 NPO法人「持続可能な社会をつくる元気ネット」の調査では、2012年ロンドン大会で選手やスタッフに1400万食が提供され、2443トンが廃棄された。このため、組織委は運営計画に「過去データなどから必要供給量の予測を行う」「残量を日々計測するなどして、発注量の最適化を図る」と明記していた。
 「元気ネット」の前理事長で、組織委のワーキンググループに参加した崎田裕子さんは「さまざまな持続可能性の目標を掲げた中で大変残念。発注制度を見直してほしい」と求めた。

◆「誤差、多過ぎる」

 食品ロス問題に詳しいジャーナリストの井出留美さんは、開会式で準備した弁当などの4割が廃棄された事態について「イベントの規模が大きい分、誤差が生じるとはいえ、多すぎる」と指摘。「観客が入るのを前提に業者と契約し、無観客になっても発注量を変えていないのではないか」と批判した。
 日本フードバンク協会(東京都渋谷区)の前川恵会長も「フードロスは国際的に大きな問題だが、日本ではまだ意識が足りていないことの表れではないか」と話した。
 ツイッターでは「弁当廃棄」がトレンド入りし、「コロナ禍で食べるにも困っている人に無料配布したら」「『持続可能性に配慮』は消滅寸前」との書き込みであふれた。

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