“都立の星” 足立新田高・相撲部 前へ前へ20年 13大会連続、高校総体切符

2021年7月29日 07時10分

インターハイに向けて猛練習に励む小宮山翔海選手(手前左)ら都立足立新田高相撲部

 二年ぶりに開催されている全国高校総合体育大会(高校総体)に、都立足立新田(しんでん)高校(足立区新田二丁目)の相撲部が十三大会連続で出場する。都立高で唯一の相撲部は今年で創部二十年を迎えた。部員は十人と少ないが、大学相撲で実績を積んだ若い指導者の下で全国大会常連校までに成長した。
 「もっと脇を締めて」「頭を付けろ」。猛暑の中、相撲場では高校総体出場を間近に控えた部員たちが激しい稽古を重ねていた。コロナ対策で扉と窓はすべて開放され、送風機や扇風機が設置されている。それでも体から汗が噴き出し、土俵に倒されると背中や腹に土がべっとりと張り付く。

足立新田高相撲部の部旗

 高校総体の都予選は六月二十日行われ、足立新田は六校総当たり戦を全勝して本大会出場を決めた。

部員を見守る松永昭久監督

 現在の部員は三年一人、二年四人、一年五人。ただ一人の最高学年で部長を務める大浜空(くう)さん(17)は身長一メートル七六だが体重は一一二キロある。この体格を生かした押し相撲が持ち味だ。「昨年の高校総体はコロナ対策で中止になった。二年前の総体は一年生で出場させてもらったが勝てなかった。この総体が最後の全国大会になるかもしれない。がむしゃらに、持てる力を発揮したい」と意気込む。
 二年の小宮山翔海(とあ)さん(16)は団体戦のほか、個人戦にも出場する。中学生のときに全国大会でベスト8になったことがある実力者だ。「これまではコロナで思うように練習ができなかった。部活ができるようになり、楽しんで取り組んでいる。総体では下から押し上げる相撲を取りたい」とぶつかり稽古を続けていた。
 相撲部が誕生したのは二〇〇一年。部員一人からスタートし、三年目で全国大会のひとつである宇佐大会に初出場した。東京新聞は宇佐大会直前の〇三年九月三日付朝刊T発面で「もう一つの“都立の星”」と取り上げた。当時、顧問だった満留久摩(みつどめきゅうま)教諭の「おまえたちは東京の代表だ。自覚を持て」といった自信を持たせる指導で力を付けてきたと伝えている。

扇風機を回し、窓は全開=いずれも足立区で

 現在は松永昭久教諭(33)が指導に当たっている。日体大相撲部OBで、大学四年時の全国大学選抜高知大会では準優勝した。この大会の優勝は後の大喜鵬(だいきほう)(最高位前頭十六枚目)=引退、三位は千代大龍(同小結)、四位は常幸龍(じょうこうりゅう)(同)と、いずれも大相撲で関取になっている。千代大龍は足立新田OBであり、松永先生とは日体大のチームメートだった。
 松永先生はプロに進めたほどの選手だったが、教員の道を選び、一三年から足立新田相撲部の顧問を満留先生から引き継いだ。まわしを締め、部員に胸を出して一緒に汗を流して教えることも多い。「生徒とはできるだけコミュニケーションをとることを心掛けている」と話す。稽古の途中で部員を呼ぶと「腕はこう使え」「まわしの取る位置はここ」などと具体的に指導している。
 学校での練習時間は二時間程度という。「公立なので部員集めは苦労する」というが、適切な指導で中身の濃い稽古を行い、私立の強豪を抑えて東京代表の座を維持してきた。
 男子部員がぶつかり合う土俵の脇で、スパッツの上にまわしを付けた女子生徒の姿があった。今年入部した一年の石井さくらさん(16)だ。中学生のときは全国大会で軒並み優勝し、一八年の世界相撲選手権では女子中量級で三位に。今年の女子の大会はコロナ禍で中止や延期が続いている。「いずれ大会が開かれると思う。いまのうちにしっかり準備しておく」と四股を踏んでいた。
<高校相撲の大会> 高校総体、国体のほか、弘前(青森)、金沢、宇佐(大分)などの大会も全国大会として行われている。高校選手権は高校総体と同一になっており、多くの相撲部が最も重要な大会として位置付けている。今年の高校総体は北信越5県で7月24日〜8月24日の日程で開催されており、相撲競技は8月6〜8日、新潟県糸魚川市で行われる。
 文・桜井章夫/写真・戸田泰雅
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