元女子サッカー3選手、引退後男性に 動画でトランスジェンダーの情報発信 

2021年7月29日 12時00分
動画での情報発信をしていく(左から)山本さん、大嶋さん、大川さん=ミュータントウェーブ提供)

動画での情報発信をしていく(左から)山本さん、大嶋さん、大川さん=ミュータントウェーブ提供)

 日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)の元選手で、現在は男性として生きるトランスジェンダーの3人が、自分らしく個性を発揮できる社会を目指して、動画投稿サイト「ユーチューブ」で情報発信を始める。突然変異する波という意味の「ミュータントウェーブ」というグループを作り、スポーツとファッションを中心にさまざまな企画を打ち出していく。(奥野斐)

◆「自分たちしかできないことを」

 3人は「バニーズ京都SC」でチームメートだった大嶋悠生さん(33)と大川政美さん(30)、現在の「日体大FIELDS横浜」でプレーした山本朝陽さん(29)。選手を引退後にカミングアウトしたり男性へと見た目を変え、性別適合手術を受け名前や戸籍上の性別も変更した。今春「自分たちしかできないことをやろう」と意気投合し、動きだした。
 国内では、スポーツ競技の多くは出生時の性別を基準に男女別で行われ、トランスジェンダーの人は現状、自認する性で競技生活を送ることは難しい。「自分たちを通じてセクシュアリティー(性のあり方)とスポーツに関心を持ってほしい」と大嶋さん。
 当面はスポーツとファッションを軸に動画や会員制交流サイト(SNS)で発信していく。3人が弱視の人による「ロービジョンフットサル」を体験したり、男性と同じステージに立って男性と戦う企画も計画。女子サッカーの現役トップ選手のゲストの登場も予定している。
 大嶋さんはモデルの活動も始め「トランスジェンダーとして、男性のスモールサイズのモデルとして、ファッションの可能性を広げたい」と話す。

◆社会の生きづらさ

 埼玉県川口市出身の大嶋さんは、幼稚園児の時にサッカーを始めた。小学生のころには「女子」であることに違和感があり、スカートや長い髪が嫌で、高校生になると「男になりたい」との意識も強くなった。しかし、「サッカーが全て。そこで生きていくのに必死だった」と振り返る。引退後に男性になろうと決め、27歳で現役から退くと、性別適合手術やホルモン治療などをした。
 引退後の就職活動では、医療系の企業でトランスジェンダーと明かすと「取引先からの信頼が落ちる」と内定を取り消されたこともある。「日本社会の生きづらさを感じた。当事者や困っている人のためにできることをしていきたい」
 「多様性と調和」を掲げた東京五輪・パラリンピックでは初めて、トランスジェンダーと公表した選手が自認する性別で出場する。大嶋さんは「トランスジェンダーだから出場できたわけではなく、後ろには並大抵ではない努力や練習があったと思う。一面だけを見ずに、背景にも目を向けてほしい」と求めた。
 活動について、大川さんは「自分らしく生きよう!僕たちを見て少しでも皆さんの勇気につながれば最高です!」、山本さんは「ばらつきがあるからこそ面白い。当たり前の概念にとらわれず、いろんなことに挑戦していきたい」とコメントを寄せた。動画は「ミュータントウェーブ」で検索。

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