変異株「デルタ株」 なぜ怖いの? 感染防ぐには? ワクチンの有効性は?<新型コロナ> 

2021年8月19日 17時30分
 東京都などで新型コロナウイルスの感染が急拡大している要因とされる変異株「デルタ株」。感染対策の専門家らは、感染力が強いデルタ株への置き換わりを警戒し、対策強化の必要性を繰り返し訴えている。デルタ株とはどんなもので、何に気を付けたらいいのか。(デジタル編集部)=2021年8月19日更新

◆感染力高く、ワクチンの効き目低下させる恐れ

新型コロナウイルスのデルタ株(国立感染症研究所提供)

 厚生労働省ウェブサイトの「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」によると、変異株とは新型コロナウイルスの遺伝情報の一部が書き換わったもので、約2週間に1カ所ほど書き換わりが起きていると考えられている。
 デルタ株は、数多くある変異株のうち、国立感染症研究所が「懸念される変異株」に分類して警戒を強めている4種類の1つだ。2020年10月にインドで発見された。英国で20年9月に発見された「アルファ株」も4種類に含まれるが、デルタ株の方が感染しやすい可能性があるという。また、ワクチンの効き目を弱くするかどうかでは、アルファ株の場合、ワクチン効果に「影響がある証拠なし」とされているが、デルタ株は「効果を弱める可能性」が指摘されている。

◆従来株が「枯れ葉」ならデルタ株は「ひっつき虫」

 米疾病対策センター(CDC)が7月30日に公表した報告書によると、東部マサチューセッツ州で7月に起きた集団感染で、感染者の74%がワクチン接種を完了しており、ほとんどがデルタ株に感染していた。未接種者と同じ量のウイルスが確認されたといい、デルタ株の感染力の強さが示されている。
 この感染力の強さについて、感染症に詳しい森島恒雄・愛知医科大客員教授は、デルタ株を「ひっつき虫」と呼ばれる雑草オナモミの実に例えて、いったん人の肺などの細胞にくっついたら離れにくいと説明。従来株は「枯れ葉」に例え、くっついても離れやすいと違いを語り、「デルタ株が広がった現状は、小さな小さなひっつき虫が空気中に漂っているようなイメージだ」と解説する。

◆ワクチン、効果があったとの研究も

 とはいえ、デルタ株に対して、ワクチン接種の意味がないわけではない。CDCは、感染した接種者の約8割は発熱などの症状があったが、入院したのは基礎疾患のある2人を含む4人(1.2%)にとどまり、死者はなかったことも指摘。「重症化や死亡を防ぐにはワクチン接種が最も重要な戦略になる」と説明した。
 厚労省の「新型コロナワクチンQ&A」では、接種した人の血液を使った実験や、接種した人としていない人の違いの観察で、ワクチンに一定の効果がみられたことが紹介されている。ただ、どちらの確認方法も効果を評価する際に注意する点があるといい、「小さな変異でワクチンの効果がなくなるというわけではありません」としつつ、「引き続き、ワクチンの有効性に関する情報を収集していく必要があります」とまとめている。
 また、8月中旬の東京都の発表によると、変異株のスクリーニング検査ではほとんどの人からデルタ株にある変異「L452R」が確認され、デルタ株への置き換わりが進んでいるが、60代以上の感染者数は若い世代ほどは増えていない。都などは、ワクチン接種の効果で感染が抑えられていると判断している。

◆感染予防は基本対策の強化を

 デルタ株に感染しないために、1人1人ができることはなにか。厚労省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」では、適切なマスクの着用や手洗いの徹底などが有効だとしている。
 注意が必要なのは、デルタ株の置き換わりが進むにつれて、従来はあまりクラスターの発生がなかった場所でも感染拡大が起きていることだ。内閣官房の新型コロナに関するウェブサイトでは、8月11日付けの「西村大臣からのお知らせ」で「多様なクラスターが多数発生し、感染が拡大しています」と強調し、これまではクラスターの発生がほとんどなかった百貨店や学習塾でも発生していると紹介した。対策としては、「密接」「密集」「密閉」の1つだけであっても避ける「ゼロ密」を目指すことや、企業には「体調が悪い際に気兼ねなく休めるルール、雰囲気づくり」をすることも求めている。
 もともとリスクの高さが指摘されていた場所でも、引き続き警戒が必要だ。内閣官房の「感染拡大防止特設サイト」では、クラスター(感染者集団)を分析して分かってきた「感染リスクが高まる『5つの場面』」を紹介し、注意を促している。
 「飲酒を伴う懇親会等」「大人数や長時間におよぶ飲食」「マスクなしでの会話」「狭い空間での共同生活」「居場所の切り替わり」の5つ。「居場所の切り替わり」とは、仕事で休憩時間に入るなどして、休憩室や喫煙所、更衣室に居場所を移した際に気の緩みなどで感染リスクが高まることがあることだという。
 特設サイトでは、テレワークの実践も呼び掛けている。

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