ペルーで急進左派の大統領が誕生 チリやコロンビア、ブラジルの大統領選でも右派苦戦の予想

2021年7月29日 21時31分
 【ニューヨーク=杉藤貴浩】南米ペルーで28日、ペドロ・カスティジョ氏(51)が大統領に就任した。農村出身の教師で当初は無名だったが、新型コロナウイルスの感染が広がる中で訴えた社会主義的政策が奏功した。南米では大統領選を控えるチリやコロンビア、ブラジルでも政権を握る右派の苦戦が予想され、「左派ドミノ」が起きる可能性もある。

カスティジョ大統領=AP

◆格差解消に意欲

 カスティジョ氏は、ペルーの首都リマで行われた就任式で「この国が何世紀も抑圧されてきた階層である農民によって初めて統治される」と宣言。格差解消や新憲法制定、汚職撲滅などに意欲を示した。
 大統領選では、中道右派で都市住民や富裕層の支持者が多いケイコ・フジモリ氏を相手に、「鉱山会社が富を奪っている」などと訴え、貧困層への所得再分配や社会福祉の拡充を主張した。当選が近づくと徐々に急進的な発言を弱めたが、改革への期待とともに警戒感も強まっている。

◆有識者「政治から遠ざけられてきた人たちが支持」

 中南米政治に詳しい米ポモナ大のミゲル・ティンカー・サラス教授は「カスティジョ氏は、政治から遠ざけられてきた人々の支持を得た。近隣諸国で近年続く流れだ」と話す。メキシコでは2018年、汚職や貧困を解消できない既成政党への不満から同国初の新興左派政権を率いるロペスオブラドール大統領が誕生。アルゼンチンでも19年、通貨安などの経済危機を背景に左派のフェルナンデス氏が大統領に就いた。

◆新型コロナで不満拡大

 新型コロナの拡大後は、各国で経済の悪化や格差拡大への不満が一層高まっている。チリでは5月、新憲法草案起草のための制憲議会選で中道右派政権が惨敗。ピニェラ大統領は「人々の要求と希望に十分に対応していなかった」と認めた。19年に発生した格差反対デモの機運も続き、ピニェラ氏の後継を決める11月の大統領選でも左派優勢との見方が強い。
 右派政権のコロンビアでも今年、増税案をきっかけに大規模な反政府デモが発生。来年の大統領選では右派に逆風が吹きそうだ。
 地域大国ブラジルでは、極右ボルソナロ大統領がコロナ対応に失敗。調査会社ダタフォリャによると、今月の不支持率は就任後最高の51%を記録した。来年10月の大統領選でライバルとされる左派のルラ元大統領は、ペルーでのカスティジョ氏の勝利に「象徴的だ。中南米の人民の闘争で新たな進歩があった」と勢いづいている。

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