<社説>遅れる飲食支援 地域の灯守り抜きたい

2021年7月30日 07時01分
 新型コロナ感染が再び全国へ拡大する中、飲食店の苦境が一段と鮮明になっている。国や自治体による支援が滞り、経営悪化に拍車をかけているためだ。行政からの支援強化はもちろん、地域ぐるみで支えることも考えたい。
 営業時間短縮などに応じる飲食店への協力金については「支給が遅い」との声が噴出していた。これを受け国は、緊急事態宣言下の東京や沖縄、まん延防止等重点措置区域の大阪や神奈川、千葉、埼玉の六都府県で協力金の一部を先払いする制度を始めた。
 しかし先払いを急ぐあまり、これまでの申請処理が滞る事態が一部で起き、支援全体が一層遅れるという悪循環が起きている。
 資金は準備されているのに、実際の支援が行き渡っていないという実態もある。
 二〇二〇年度予算は、当初予算と三回の補正を合わせ百七十五兆円超規模に膨張。だがこのうち三十兆円は使われず二一年度への繰越金となる見通しだ。この中には協力金の原資となる地方創生臨時交付金も含まれており支援の滞りが裏付けられた形だ。
 予算がスムーズに流れない原因は、国と支援の実務作業を行う自治体との連携不足である。
 人件費や家賃の支払い、税の納付に追われる飲食店にとって支援の遅れは死活問題であり、その遅れによって廃業や従業員の解雇に追い込まれるケースは激増している。国や自治体は早急に具体的な問題点を洗い出し、即効性の高い支援の枠組みを策定すべきだ。
 全国の飲食店は生き残りをかけテークアウト(持ち帰り)に取り組んでいる。デリバリー(出前)に応じるケースも増えている。
 ただテークアウトなどに乗り出す場合、店内の改装などに設備投資資金が必要だ。国や自治体には助成金の拡充など支援強化を求める一方、信用金庫など地域に根差した金融機関にはより柔軟な対応を期待したい。
 飲食店は商文化に潤いをもたらす「地域の灯」だ。生産地など取引先も幅広く、学生アルバイトを含め多くの雇用をもたらす。
 この灯を消さないためには地域の人々の協力も欠かせない。街にあるなじみの店の前を通った際、テークアウトの利用などを考えてはどうだろう。こうした小さな積み重ねが、コロナ禍から地域を守り抜く道へとつながるはずだ。

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