故郷を離れ、五輪直前に大けが…フクヒロ、2人で挑んだ「奇跡」の大舞台<バドミントン女子ダブルス>

2021年7月30日 09時59分
 バドミントンのダブルス女子で、世界ランキング1位の福島由紀、広田彩花組は準々決勝で陳清晨、賈一凡組(中国)に1―2で競り負け、4強入りを逃した。

女子ダブルス準々決勝で中国ペアに敗れ、腕を交わしながらコートを後にする福島(右)、広田組=武蔵野の森総合スポーツプラザで

◆要手術の右膝、大きなプロテクター

 紆余(うよ)曲折を経て大舞台にたどり着いた2人の挑戦が終わった。バドミントン女子ダブルスの福島由紀(28)、広田彩花(26)組=丸杉Bluvic=が、29日の準々決勝で無念の敗退。指導者を追って故郷を離れ、先が見えない時期を過ごし、五輪直前に大けがに見舞われてなお、最後まで下を向かなかった。
 弱みを見せまいとばかりに、広田は相手の狙い撃ちを軽やかなステップでさばき続けた。右膝に大きなプロテクターをしたまま、果敢に前に出る攻めも見せた。力尽きるように逆転負けし、ついに涙があふれる。それでも「2人で思い切りプレーできたことが幸せ」と言い訳はせず、福島は「痛かったと思うが本当に頑張ってくれた」と静かに後輩の肩を抱いた。
 広田は、五輪直前の6月、代表合宿中に前十字靱帯(じんたい)を損傷。本来なら手術すべきだったが、「五輪のコートに立ちたい」という思いが勝った。1次リーグを勝ち抜き、準々決勝に上がったこと自体が「奇跡」だった。

◆同郷ペア、紆余曲折をへて

 ともに熊本県で生まれ育ち、地元の名門チームの再春館製薬所でペアを組んでいた。2012年ロンドン五輪で銀メダルの藤井瑞希、垣岩令佳組を育てた今井彰宏監督の元で順調に成長したが、監督が金銭トラブルでチームを離れたことが転機になった。
 岐阜のチームに移った今井氏を追って、18年4月末で退社。玉名女子高時代に広田を指導した恩師の永松勇一郎さんは、「どこに行っても応援するけど、熊本に残ってほしい」と諭した。だが、一度決めた意志は固かった。
 縁もゆかりもない新天地で、大企業の支援も得られない。それでも、「一歩上に行くには(今井氏の)サポートが必要」と揺るがなかった。20年にはチームの運営会社が経営破綻し、岐阜市の企業が立ち上げた新チームに今井氏とともに移籍。取り巻く環境が変わる中でも、17年から3大会連続で世界選手権の銀メダルをつかむなど安定した活躍を続けた。

女子ダブルス準々決勝 ポイントを取られ悔しそうな表情を見せる福島(左)、広田組

 世界ランキング1位で迎えた東京五輪。準々決勝でも第1ゲームを先取し、地力を示した。広田が悔しさを押し殺すように「先輩には感謝しています」と絞り出した後、福島は「精いっぱいやった結果。どうにか自分たちの思いが届いていればいいなと思う」。後輩をねぎらう柔らかな口ぶりに、悲愴(ひそう)感はなかった。(佐藤航、浅井貴司)
【関連リンク】福島由紀のプロフィール
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