SNSで相次ぐ五輪選手への誹謗中傷 メンタルヘルスどう守る?

2021年7月30日 20時00分
 東京五輪に出場する選手への会員制交流サイト(SNS)上の誹謗ひぼう中傷が相次いでいる。五輪は活躍が世界中に伝わる半面、攻撃にもさらされやすい。コロナ禍で選手にのしかかる心理的な負担も大きく、選手をどう守るかが課題だ。(小嶋麻友美、佐藤航)

女子個人総合決勝 段違い平行棒を終え、感極まった表情でガッツポーズする村上茉愛=有明体操競技場で

 「見たくなくても嫌なコメントを見てしまい、悲しかった」。体操女子の村上茉愛選手は5位に入った29日の個人総合決勝後、涙ながらに語った。
 28日の体操男子個人総合に出場した橋本大輝選手にも金メダル獲得直後から「盗んだメダルは夜にあなたを殺します」など翻訳ソフトで変換したような日本語のつぶやきが並んだ。
 これを受け、国際体操連盟は減点項目の内訳を公表し採点に問題がなかったことを強調。橋本選手も「国の代表として努力してきたアスリートを認め、称賛する人が増えてほしい」と投稿し、採点を巡って中傷がなくなることを願った。
 卓球混合ダブルス金メダルの水谷隼選手は自身のツイッターで「とある国」から「消えろ」などのメッセージが届いていることを写真付きで紹介。サーフィン男子銀メダルの五十嵐カノア選手のツイッターにも、審判を不正に味方につけたなどと揶揄するポルトガル語の投稿が相次いでいる。

女子シングルス3回戦で敗れ、引き揚げる大坂なおみ=7月27日撮影、有明テニスの森公園で

 一方、徳間書店は28日、編集者が「人権侵害を伴う不適切な投稿」を行っていたと謝罪し、業務委託の契約を解除したと発表。編集者は自身のツイッターで、三回戦で敗退したテニスの大坂なおみ選手について外見も含めて中傷し、批判が広がっていた。

◆コロナ禍で増す負担 「競技を楽しめない」

 コロナ禍の大会で、選手にかかる負荷も一層増している。メンタルヘルスの不安を理由に、体操女子の団体競技を途中棄権した米国の米国のシモーン・バイルス選手は「今回の五輪は本当にストレス。無観客だし、ここまでの過程も長かった。多くの不安定な要素がある」と会見で打ち明け、「メンタルヘルスを最優先にしたい。そうでなければ競技を楽しめない」と訴えた。

体操男子の個人総合で金メダルを獲得した橋本大輝選手のインスタグラム

 こうした現状に、国際オリンピック委員会(IOC)アスリート委員会のコベントリー委員長は29日の記者会見で「メンタルヘルスの問題はこの2、3年、重要な問題として緊密に取り組んでいる」とし、専門家につながる24時間体制のホットラインや、大会後も利用できる無料カウンセリングなどの対策を挙げた。一方、東京五輪の組織委員会は「まずは選手が所属する各国オリンピック委員会が対応すべきだ」と説明した。

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