へーシンクの悪夢は繰り返された…東京大会を金で締めくくれず<柔道混合団体>

2021年7月31日 21時52分
 フランスが肩を抱き合って描いた歓喜の輪。日本の6人は、じっと見つめていた。

◆発祥国が母国開催で初代王座逃す

 新種目の混合団体。決勝で日本はフランスに1―4の完敗だった。柔道発祥国の威厳を示せなかった。チームをけん引してきた大野は言った。「フランスは強かったです。尊敬しています」。そして続けた。「負けたこと、これはしっかりと胸に刻まないといけないと思っている」

混合団体決勝でフランス(手前)に敗れた日本チーム =日本武道館で

 歴史は繰り返されるのか。1964年東京五輪。3階級を制し、迎えた最終日。無差別級で神永昭夫がヘーシンク(オランダ)に敗れ、日本武道館は沈黙に包まれた。2021年も最終日にぼうぜんと立ち尽くした。女子の増地ますち克之監督は「前回の東京五輪と同じような光景。(前回大会を)見ていないけど、そういう気持ちになった」

◆柔道熱が世界に拡大した証し

 あれから57年。世界選手権4連覇中の日本の優勝は固いと思われていた。しかし、海外勢の熱の入れようは想像以上。フランス、イスラエル、ROC、ドイツ。中心選手が鼓舞し、一致団結して金メダルを狙っていた。それだけ柔道が世界に広まり、競技レベルが上がった証しだろう。
 日本は決勝6人のうち、4人が金メダリスト。だが、団体戦には流れがある。1人目は女王同士の対決。70キロ級の新井が1階級下の63キロ級アグベニェヌから一本を奪われた。「ふがいない。流れをつくれなかった」。日本は沈み、フランスは活気づく。ここが勝負の分かれ目だった。

◆エース大野の出番前に決着

 続く男子90キロ級の向も一本負け。女子78キロ超級の素根が一矢報いたが、男子100キロ級覇者のウルフが100キロ超級のリネールに敗れ、追い詰められた。女子57キロ級の芳田は勢いにのまれ、万事休す。最後の男子73キロ級、大野まで回すことはできなかった。
 団体こそ銀メダルに終わったものの、計9個の金メダルを獲得。男子の井上康生監督はしみじみ言った。「非常に悔しい。だが、選手は8日間、素晴らしい闘いをみせてくれた。心から誇りに思う」(森合正範)

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