<記者座談会>従来スタイル、限界か 五輪前半戦、テレビはどう伝えた 

2021年7月31日 07時15分

開会式で、話題となったピクトグラムと同じポーズをとるパフォーマー

 コロナ禍の東京五輪は折り返しを迎えた。ゴタゴタ続きだった開会式、日本選手のメダルラッシュは感染急拡大のコロナ報道を押しのける…。仕事の合間などに五輪をテレビで視聴している各部の記者たちは前半戦をどう見たのか。 (まとめ・谷岡聖史)

▽開会式

 谷 開会式は演出に携わる人の辞任や解任が続いたが、NHK総合の中継は56.4%と高視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。ステイホーム、巣ごもりの人が多かったからだろうか。
 大 ピクトグラムの実演などテレビだからこそ楽しめる演出もあったが、式全体として統一感がなかった。
 福 子どもの入浴や寝かしつけの時間なのでほとんど見なかったが、SNSやウェブ記事で知った。ネット動画で見られるのだろうが、数時間も続く式典は今後も見ない。
 谷 それに、午後8時から午前0時近くまでと時間帯も遅かった。米国の放送局への配慮なのか。
 奥 「ドラゴンクエスト」などのゲーム音楽が入場行進で使われていたが、世代やゲームへの親しみ方で感じ方が違う。私は作曲家の1人がLGBT差別に同調する発言をしていたのを見聞きしていたので、「多様性と調和」を掲げる五輪でこれはアリなのかと率直に疑問だった。
 谷 レインボーの衣装でMISIAさんが「君が代」を歌い、最終聖火ランナーが大坂なおみ選手だったことは?
 奥 「多様性と調和」の演出を見て取ったが、組織委の森喜朗前会長の女性蔑視発言などを思い出し、冷ややかに見た。

▽コロナ禍でも「礼賛」?

 谷 無観客の今回はさらにテレビの責任は重大。時差もないので朝から深夜まで中継や関連番組が続き、日本選手の活躍もあり、過去の大会のような「お祭り騒ぎ」的な番組が目立つ気がする。
 大 直前まで不透明な部分もあり、局側も前例を踏襲した方法しか取れなかったのかな。違和感はあるが、われわれメディアには社会の動きを伝える役割がある。感染状況に恐怖を感じ、金メダルの快挙に喜びもする。
 福 スポーツもコロナ禍と地続きで、切り分けるのは無理だと思う。サッカー男子で日本と対戦した南アフリカの選手らに陽性者が出た。本来の力を出せなかったと想像し、日本代表の応援色の強い番組にモヤモヤした。もう少し南ア選手団の置かれた状況の説明があれば。
 奥 コロナ禍でもテレビは通常モードという印象。日本テレビ系の情報番組を見たら、メダリストの喜びの声、関係者やタレントの感想という毎度おなじみの構成で、コロナに触れるとしても選手が思い通り練習できなかったという点が多く画一的だった。コロナのニュースは言い訳程度とさえ感じる番組もあった。
 福 過去のラグビー大会では、淡々とした解説でプレーやルールが理解できた。でも、「行け」「頑張れ」と声援を送るような解説が好きな人もいる。みんなが同じものを見る視聴スタイルには限界がある。
 奥 開会式当日のフジテレビ系番組では、キャスターが前日に解任された小林賢太郎氏を擁護するような発言があった。ブルーインパルスの飛行を人々が「密」になって見上げている映像に、スタジオの司会者もゲストも何も触れないのは違和感があった。

▽「理念」伝えている?

 谷 「多様性と調和」といった理念についての発言があったが、それは画面から伝わっている?
 大 競技中継は他の国際大会と同じ。「復興五輪」についても、開会式で被災地の子どもたちが登場したぐらいだ。
 奥 「多様性と調和」とうたわれても表面的に見える。日本ではLGBTと公表している五輪選手がゼロという現状、ジェンダー不平等などを冷静に指摘する番組があってもいい。ただ、この座談会もジェンダー的な偏りが…。
 谷 そうですね。メディアの一員として五輪を機に多様性をもっと考えていかないと。

金メダルを獲得したソフトボールの日本選手たち。メダルラッシュでテレビは大盛り上がりだが…

■出席者(登場順)
 谷岡聖史(谷) 文化芸能部。40歳。
 大島晃平(大) 整理部。TOKYO MX1「堀潤モーニングFLAG」コメンテーター。29歳。
 福岡範行(福) デジタル編集部。2児の父。録画した幼児番組以外、あまり見ない。37歳。
 奥野斐(奥) 社会部でLGBT、ジェンダー、教育問題などを取材。37歳。

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