<社説>緊急宣言を拡大 危機感共有へ力尽くせ

2021年7月31日 07時20分
 新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い、政府が埼玉、千葉、神奈川、大阪の四府県に緊急事態宣言を追加発令することを決めた。
 政府は宣言を感染抑止の「切り札」と考えるが、効果は徐々に薄れている。感染対策への協力を求めるには政府と専門家が国民と危機感を共有する必要がある。
 宣言の期間は八月二日から三十一日まで。すでに発令中の東京都と沖縄県も八月二十二日までの期限を三十一日に延長する。
 全国の新規感染者は一万人を超え、都内の人出も十分には減っていない=写真。感染は全国に広がり、まん延防止等重点措置の適用も石川など五道府県に拡大する。
 感染力が強いデルタ株への置き換わりが進む中で、帰省客などが増えるお盆期間を迎える。東京五輪も開かれている。
 政府の対策分科会の尾身茂会長は感染者急増の要因に、コロナ慣れや自粛疲れ、デルタ株増加、夏休みお盆期間などに加え、五輪開催を挙げた。
 しかし、菅義偉首相は五輪と感染者急増との関連には否定的で、「人流は減っている」「高齢者の重症者は減っている」「治療薬がある」などと述べた。楽観論を振りまくだけでは、政府の危機感が国民には伝わらない。
 厚生労働省の専門家会議は感染者急増で医療態勢が逼迫(ひっぱく)することを懸念し、「危機感を行政と市民が共有できていないことが、現在の最大の問題」と指摘した。
 首相をはじめ政府は、専門家の指摘を重く受け止め、国民との危機感共有に力を尽くすべきだ。
 政府は正確な感染状況と併せ、拡大を防ぐ実効性ある対策、国民に求める協力、感染抑え込みへの見通しなどを示す必要がある。
 ワクチン接種は進んでいるが、人口の一定程度が免疫を持ち、感染症が流行しない「集団免疫」の獲得には至っていない。接種は個人の判断に委ねられているが、接種が進んだ世代の感染者数は減っているとのデータもある。
 政府は接種を呼び掛けるとともに、希望者全員が速やかに接種できるようワクチンの確保と適正な配分に努めなければならない。

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