<コロナ緊急事態>非正規指導員に休業手当払わず ジム最大手 コナミスポーツ「政府要請、義務ない」

2020年5月14日 02時00分

非正規のインストラクターに対して「休業補償は支払えない」とするコナミスポーツ本社の方針を伝えたマネジャーのライン=提供写真(一部画像処理)

 スポーツジム最大手のコナミスポーツが、新型コロナウイルス感染拡大で休館にしている全国のジムで、時給で働くインストラクターに休業手当を全く支払っていないことが十三日、明らかになった。全国百八十カ所の施設のインストラクターの多くは時給で働く非正規社員であり、これほど多くの従業員への休業手当不支給が判明するのは初めて。同社は「緊急事態宣言に基づく休館のため休業手当の支払い義務はない」と主張するが、識者らは「企業の社会的責任を考え支払うべきだ」としている。 (池尾伸一)
 インストラクター三人が、個人加盟の労組「総合サポートユニオン」に加盟。今週初め、三月にさかのぼっての休業補償を求めて団体交渉を要求した。
 そのうちの一人、シングルマザーの女性は四年前から一日七時間、週五日アルバイトのインストラクターとして都内の同社施設で働き二十万円の月収で三人の子どもを育ててきたが、施設が緊急事態宣言で休止。休業になった。
 しかし、休業手当は全く支払われず、現在は貯金を取り崩して生活する。女性は「現場を回しているのは私たちバイトなのに、なぜこうした対応をするのか理解に苦しむ」と話している。別の男性も一日八時間働き二十五万円の収入が全くなくなった。
 女性らは、休業補償を正社員のマネジャーに要求したが「現状では補償を払えない」との回答が、LINEで返ってきただけだった。
 本紙の取材に対し、コナミスポーツは、全国の同社施設で時給のインストラクターには休業手当を払っていないことを認めた。
 不支給の理由について「臨時休館は当社の都合による休業ではなく、政府からの利用自粛要請があり不可抗力によるやむをえない対応のため」と説明。一方、正社員に対しては必要な業務を行っているとして、給与を払い続けていることを明らかにした。
 労働基準法では会社の都合で社員を休ませる場合、最低六割の休業手当を義務付けるが、知事の要請で業務停止する場合は企業の都合とは必ずしも言えず、義務付けの法的根拠があいまいになる点は国会でも問題になった。
 ただ、その場合でも雇用調整助成金は活用できるため、労働問題に詳しいPOSSEの今野晴貴代表は「義務付けがないとしても今、何の補償もしなければ働く人の生活が困窮するのは明白。企業は社会的責任を果たすべきだ」と言う。
 一方、日本労働弁護団の梅田和尊弁護士は「知事の要請にとどまり、法的強制ではないので手当支給義務もあるはずだ」と主張する。
<コナミスポーツ> ゲームソフトを柱とするコナミホールディングス傘下でスポーツジムやフィットネスクラブを全国で180カ所展開。本社・東京都品川区。従業員は非正規含め3月末現在で6235人。現場のインストラクターは非正規社員が多いといわれるが、社員の非正規・正規の割合は公表していない。

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