<ヒューマンいばらき>料理で県の魅力発信 藤良樹(ふじ・よしき)さん(41)

2021年8月1日 07時20分

日本庭園を楽しめる店内で茨城の魅力を語る藤良樹さん=常陸大宮市で

 常陸大宮市のフレンチレストラン「雪村庵(せっそんあん)」のオーナーシェフを務める。店名は、常陸国部垂(へたれ)(現在の同市)に生まれた室町時代後期の画僧雪村にちなむ。
 昭和初期の古民家を改修した店内からは、池を配した日本庭園が見渡せる。常陸牛や奥久慈野菜など県産の食材にこだわり、食器も地元の御前山(ごぜんやま)焼を使う。県の認定制度「いばらき観光マイスターS級」を取得した妻由香さん(36)が接客を担当し、各食材の背景を説明する。
 日立市出身。父は、一九八五年のつくば科学万博でも腕を振るった料理人。幼いころから父の職業にあこがれを抱いていた。
 水戸市の料理専門学校を卒業後、東京・恵比寿や神奈川・鎌倉、水戸のレストランで腕を磨き、二十代半ばで雪村庵のスタッフに採用された。前オーナーに見込まれ、二〇一四年九月に店を引き継いだ。
 自分の技術には自信を持っていたが、フランス料理にほかの要素も足し合わせて深みを出したいと思っていた。そこで一九年春から休業し、美食の街として知られるスペイン・バスク地方のサンセバスチャンへ単身留学。複数の名店で修業した。
 食材を半径二十キロ圏内のものにこだわれば、そのレストランに来る意味がある−。現地シェフのこんな言葉に感銘を受けた。「料理はその土地の誇りを取り戻すことができる」と再出発を誓った。
 帰国後の二〇年三月に店を再開したものの、県内でも新型コロナウイルスの感染が拡大。ストレスから体調を崩し、四月から再び休業を余儀なくされた。
 二カ月後に通常営業を再開すると、異国の地で身に付けた料理の世界観を表現した。例えば県特産のアンコウは、バスク料理に欠かせないパプリカのペーストを加えて煮出し、スープに仕上げる。以前は豪快に盛り付けることもあったが、細部までこだわる切り方や盛り付け方を追求した。
 こうした新境地は、さっそく認められた。「ミシュランガイド」と並ぶフランス発祥のレストランガイドブック「ゴ・エ・ミヨ2021」の日本版が今年二月に発行され、「京遊膳 花みやこ」(ひたちなか市)と「レストラン オオツ」(水戸市)とともに、県内で初めて掲載されたのだ。
 「茨城テロワール」を掲げる。フランス語で「その土地らしさ」という意味だ。「コロナ禍で地方の価値が見直されている中、茨城の観光と食をうまくつなげられればいい。茨城の魅力を全て表現できるような料理を目指していきたい」(松村真一郎)
  ◇ 
 雪村庵は毎週月、火曜定休。平日はディナー、土日はランチとディナーを提供しており、料理はコースのみ。問い合わせは雪村庵=電0295(53)0330=へ。

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