「科捜研の女」魅力解析! 最長寿ドラマ、「劇場版」来月公開

2021年8月1日 07時30分

1999年のドラマ放送開始から榊マリコを演じる沢口靖子

 一九九九年の放送開始以来、二十シリーズを数えるテレビ朝日系「科捜研の女」は根強い人気を誇る。沢口靖子演じる主人公や個性豊かな登場人物の魅力に加え、複雑な事件を先端の科学捜査で解決するストーリー…と魅力は尽きない。現行では“最長寿”のドラマは初めて映画化され九月三日に公開を控えるなど、新たな期待も膨らむ。視聴者から長く愛されるために必要な要素を探った。 (古谷祥子)
 東映京都撮影所内に造られた京都府警科学捜査研究所(科捜研)のセット。昨年暮れ、おなじみの出演者がそろっていた。事件被害者の死因を特定するため、榊マリコ(沢口)らが集まるシーンの撮影。沢口は同僚役の風間トオルとカメラの前に現れるタイミングを計り、解剖医役の若村麻由美は小道具のホワイトボードの動かし方を確認した。映画ならではの長回しを駆使し、六人が間髪入れずにせりふを交わす。出演者とスタッフは調整を重ね、息を合わせていた。

取材した映画のシーン。沢口靖子(左)ら、おなじみの出演者が息の合った演技を見せた=京都市右京区の東映京都撮影所で

 「科捜研の女」は、法医研究員のマリコが鋭い洞察力と行動力で、事件の真相に迫る一話完結ドラマ。土門刑事(内藤剛志)や個性豊かな同僚らとのチームワークも見どころだ。
 兼崎涼介監督による「劇場版」では、世界で同時多発した不審死を巡り、佐々木蔵之介演じる“シリーズ史上最強の敵”に挑む。過去のレギュラー出演者も勢ぞろいし、中尾亜由子プロデューサーは「二十年の集大成、ファンへの恩返し」と語る。

◆先端科学

 刑事ではなく研究者に光を当てた「科捜研−」。鑑識やSPなど、今でこそ主人公や題材が多様化した“変化球型”警察ドラマの先駆け的存在といえる。世界的に知られる米国の人気ドラマ「CSI:科学捜査班」シリーズよりも放送開始は一年早い。中尾プロデューサーは「科学の日々の進化に合わせて新しいネタを取り入れるので、マンネリ化が避けられる。法医学者や警察の監修の下、半歩先の未来で可能という技術は、演出上OKとしている」と説明する。

◆謎解き

 劇場版の物語では架空の菌が扱われ、くしくも現在の社会情勢を想起させる。コラムニストのペリー荻野も「どう時代にマッチさせていくか、学びながら作っている」と評価する。その上で「専門用語をテロップで出したり、劇中でホワイトボードに示したりと、説明が丁寧」と指摘する。年配の視聴者が多く、謎解きの分かりやすさに力を入れる点は同じテレ朝系の「相棒」などのヒット作にも共通するという。
 主演俳優と役柄の親和性も特徴に挙がる。「集中力が高く、うそがつけない。沢口さんとマリコは非常に近いと感じる」と中尾プロデューサー。ペリーは、仕事以外の物事には無頓着というマリコの性格にも着目し「沢口さんがかつて(防虫剤の)CMで見せた面白さに通じる。本人の個性をとぼけたキャラクターに生かしたところが、広く受け入れられているのでは」と分析する。

◆沢口靖子 「マリコは分身」

マリコ(中央)と名コンビを組む内藤剛志演じる土門刑事(左端)が初登場した2004年のシーズン5から ©2021「科捜研の女-劇場版-」製作委員会 ©テレビ朝日・東映

 撮影の合間、取材に答えた沢口は「分身のような存在」というマリコ役と作品への愛着を見せた。
 「最新科学で人間の弱さや愚かさ、未熟さ、いとおしさを丁寧に描いているところ」と作品の魅力を挙げる。専門用語が多いため「毎回新しい勉強で、ちょっと引っ掛かるとすぐに質問して、自分の中で納得できるようにしています」。
 沢口の勉強熱心な姿勢は周囲も認めている。スタッフの一人は「ピペット(実験器具)の使い方が誰よりもうまく、解剖の知識もある」と一目置く。本人は長くマリコを演じているせいか「物事を分析してしまう。友人にも『役の影響じゃないか』と言われた」と笑う。
 84年に俳優デビュー。「女優として意識が低く、恥ずかしかった」と当時を振り返る。その後はテレビドラマを主戦場として歩み、ずっと注目を集め続けている。自身の代名詞的作品の映画化に感謝を示し、「ドラマでは事件解決にまっしぐらなマリコだけど、映画ではその時々の表情の変化を見せるよう意識しています」と語った。
<さわぐち・やすこ> 1965年6月11日、堺市生まれ。84年、第1回東宝シンデレラに3万1653人の中から選ばれ、映画「刑事物語3 潮騒の詩」でデビュー。翌年NHK連続テレビ小説「澪つくし」でヒロインを演じた。その後、映画では「竹取物語」「ひめゆりの塔」、テレビドラマでは「太平記」「秀吉」などに出演。

◆「劇場版」あらすじ

 京都やロンドンなどで、科学者が次々と飛び降りる連続変死事件が発生。物的証拠に乏しいため自殺として処理されそうになるが、マリコと捜査一課の土門刑事、解剖医の風丘早月教授(若村)らは事件性があるとみて調べる。やがて未知の細菌を発見して国際的注目を浴びた科学者の加賀野亘(佐々木蔵之介、写真)が浮上するが…。

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