五輪組織委が繰り返す「ご飯論法」…弁当4000個「廃棄ではない」、無断外出「抜け出していない」

2021年8月1日 20時42分
 無断で外出したが「抜け出してはいない」、食品ロスは生じているが、「廃棄ではない」―。東京五輪で運営の不備を追求する報道陣に対し、東京五輪・パラリンピック組織委員会が理解しづらい解釈や定義を用いて反論を繰り返している。インターネットでは論点をずらして逃げる、安倍晋三前首相の「ご飯論法」と重ね合わせる声も。批判を正面から受け止めず、自己防衛に終始する姿勢に国民の不安や疑問は置いてきぼりだ。(原田遼)

広報担当の高谷正哲スポークスパーソン

 組織委員会は大会中、毎日午前11時に定例会見を実施し、広報担当の高谷正哲スポークスパーソンが報道陣の質問に答える。しかし、新型コロナウイルス対策や運営の不備についての質問には「現在、把握できていない」と回答を保留するケースも目立つ。その場合、数時間後に各社の担当者に高谷氏からメールで回答などが配信されるが、質問に答えていないと報道陣に不評だ。

◆<ケース1>審判が無断外出

 7月30日、新型コロナの検査で陽性になった、ボート競技の審判2人が療養施設から無断で外出したと、民放テレビ局が報道した。翌日の記者会見で事実確認の質問が出た。
 メールの回答は次の通りだ。
 「陽性となった大会関係者が外出したとされる件についてですが、療養施設に入所中の者が突然、陰圧車をホテルに呼び、検査を受けるためにクリニックにいったことは事実です。施設を抜け出したという行為ではありません
 プレイブック違反かという問いでしたが、入所者と施設管理者側との間で、より丁寧なコミュニケーションは必要だったと考えているところです。陽性は確定しており、その判定に不満をもつ者が再度検査を受けて、陽性確定の判断を覆すことは想定されておりません。大会関係者の行為により、施設管理者と保健所に迷惑をかけたことをおわび申し上げます。本人には厳しく注意をしており、今は深く反省していると聞いています」
 外出したことは認めつつ「施設を抜け出したという行為ではない」との回答。この回答内容を報じたスポーツ紙のネット記事のコメント欄は「ん?俺の読解力の問題かな」「国会質疑の言い訳みたい」などと困惑が書き込まれた。
 「募っているけど、募集はしていない、みたいなもんか?」とのコメントも。これは安倍氏が「桜を見る会」をめぐる問題で、地元有権者を招待した疑惑に対しての国会答弁だ。安倍氏の答弁は「朝ご飯を食べたか」という質問に「ご飯(米)は食べていない」と返すように論理をすり替える「ご飯論法」と名付けられる。ネット読者には、高谷氏の回答も「ご飯論法」に映った。

◆<ケース2>弁当4000個が…

東京五輪の開会式

 7月24日、前日の開会式でボランティアの弁当が大量廃棄されたと、民放テレビ局が報じた。記者会見で事実確認を求められた高谷氏は28日、廃棄分は「4000食」と明かし、組織委の公式声明を出した。
 メールの声明は以下のような内容だ。
「余剰により、多くの会場で食品ロスが生じていたことを組織委内でも確認した。特に開会式当日のオリスタ(オリンピックスタジアム=国立競技場)においては、スタッフ等が多かったために発注量が多く、伴って食品ロスも多かった。
 また弁当の発注に対する当日のシフトによる実需との誤差が生じたことも、食品ロスが大きくなっていたことの一因と考える。
 今週に入ってから、各会場において発注量の適正化措置が順次とられ始めている。多くの食品ロスが生じていたことについてはお詫び申し上げたい。なお、余剰は廃棄ではなく、飼料化リサイクル・バイオガス化している
 謝っているにもかかわらず、再資源化されることで「廃棄ではない」と独自に解釈し、ごみを「余剰」と表現した。
そもそも開会式は6000人の選手以外に関係者、出演者と運営スタッフだけで約4000人が参加。さらにボランティアも大量に配置された。持続可能性をうたうなら、もっとコンパクトにすべきだったのではないのか?
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