ミャンマー国軍トップが暫定首相に 23年8月までに選挙 クーデターから半年

2021年8月1日 21時45分

ミャンマー国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官=ゲッティ・共同

 【バンコク=岩崎健太朗】ミャンマー国軍の最高意思決定機関「国家統治評議会」はクーデターから半年を迎えた1日、「連邦暫定政府」を発足させ、議長のミン・アウン・フライン総司令官が首相に就任したと発表した。国軍色を薄め民主的な姿勢を国内外に印象づける狙いだが、市民の抗議が収束する見通しはたたず安定にはほど遠い状況だ。
 総司令官は同日のテレビ演説で、今後2年間権力を維持し、やり直しの選挙を2023年8月までに実施するとした。憲法規定で1年間の非常事態宣言を半年ずつ2度延長し、さらに半年の選挙準備期間で親軍勢力に有利な態勢を整える考えだ。アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)が権力を不正に握り、国軍が「民主主義への道を取り戻した」とあらためてクーデターを正当化した。

◆半年で940人以上が犠牲

 現地の人権団体のまとめでは半年で940人以上が犠牲となり、多くの市民が国軍統治を受け入れない情勢だが、総司令官は「現在、一部のテロを除いて国全体は安定している」と主張。市民の抵抗は「NLDや支持者が扇動し、政治、社会、経済を破壊している」として徹底排除する構えを示した。混乱収拾のために、東南アジア諸国連合(ASEAN)が求める特使派遣などに関しては「協力を受け入れる準備ができた」と述べたが、時期には言及しなかった。
 国内では新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化。1日当たりの死者は400人近く、人口比でアジア最悪レベルとなっている。総司令官は「扇動された医師らによる不服従運動や、虚偽の情報が命を脅かしている」として国民の協力を要請。一方で、不足する医療用酸素の供給制限や人道支援の妨害、私服兵士による医療従事者の摘発などが伝えられ、市民の不信感は広がっている。
 最大都市ヤンゴンや第二都市マンダレーなどではこの日も民主派の若者らが、ゲリラ的な街頭デモで、独裁の打倒を訴えた。

◆弾圧、コロナ、社会・経済の混乱の三重苦

ミャンマー人ジャーナリストのシット・アウン・ミャイン氏の話 国民は弾圧、新型コロナ、社会・経済の混乱の三重苦だ。民主派の市民は抵抗をあきらめないが、国軍の内部分裂や大規模な離反がなければ打倒は容易ではない。現在、最大の課題となっている感染拡大も、国軍が自らの技術や管理能力不足を認めず、収束は他国より大きく遅れるだろう。すべてが膠着こうちゃく状態のまま、経済や社会が数年は悪化していくことが懸念される。

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