五輪、日本のメダルラッシュの陰で…80代夫婦が孤独死か、東京・板橋のマンション

2021年8月2日 17時51分
 

高齢夫婦とみられる遺体が見つかった旧公団マンション=東京都板橋区で

東京五輪柔道の男子100キロ級と女子78キロ級で日本勢がそろって金メダルを獲得した7月29日、東京都板橋区にある旧公団マンションの一室で80代の高齢夫婦とみられる遺体が見つかった。玄関は施錠され、エアコンやテレビはついたまま。2人はいずれも死後3週間ほど。五輪が開幕する前に、誰にも気付かれないまま息を引き取っていた。(天田優里)

◆エアコン、テレビついたまま 死後3週間気付かれず

 マンションは築47年の12階建て。周辺には地下鉄などの駅やスーパー、病院があり、住民には高齢者も少なくない。近くの道路沿いには「東京2020」と描かれた看板があった。
 「部屋から異臭がして、住民と連絡が取れない」。マンションの管理会社から警視庁高島平署に通報があったのは29日午後2時35分ごろ。署員が7階の一室に駆け付けると、男性がダイニングキッチンであおむけに寝転がり、女性が洋間で倒れて亡くなっていた。2人に目立った外傷はなかった。

◆夫婦ともにがん闘病中

 捜査関係者やマンションの住民によると、部屋には約40年前からこの夫婦が住んでいた。2人に子はなく、ともにがんなどを患っていたという。妻は脚が悪く、時折つえをついて買い物に出掛けていた。妻には親族がいて、妻の様子を心配していたという。
 30、31の両日、取材でマンションを訪れた。時折スーパーに買い物に出掛ける住民はいたが、ほかに出入りは少なく、マンション内はひっそりしたまま。同じ東京で五輪が開催されていることを忘れてしまいそうだった。
 3週間ほど前に妻を近くの路上で見かけたという70代女性は「買い物カートに商品をたくさん入れていた。以前は夫婦で一緒にいるところを見かけたのに、最近は奥さん1人で出掛けることが多かったようだ」と振り返る。
 29日夕方にテレビで五輪中継を見ていた同じマンションの男性は当時、外が騒がしくて何だろうと思ったという。男性は「周りがメダルラッシュで盛り上がる中、団地の中で遺体になって見つかるなんて。気の毒だ」と話した。

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