村上茉愛、子役で鍛えた舞台度胸で銅 体操女子57年ぶり五輪メダル<種目別床>

2021年8月2日 21時08分
 東京五輪の体操女子は2日、種目別床運動の決勝が行われ、村上茉愛まい(24)=日体ク=が銅メダルを獲得した。日本の女子体操界の五輪でのメダルは、前回東京大会の1964年、団体総合の銅メダル以来で、個人では初。

女子種目別床運動で銅メダルを獲得し、目を潤ませながらガッツポーズする村上茉愛=いずれも有明体操競技場で

 東京五輪の是非を巡って賛否が飛び交い、村上の心は揺れていた。会員制交流サイト(SNS)で開催を望まない人の声に触れ、批判にもさらされた。「五輪に反対する人がいるのも知っているし、応援してくれる人がいるのも感じている」。葛藤と向き合って迎えた2日の種目別床運動で、個人種目では日本女子初となる銅メダルをつかんだ。

◆度胸付けるため、子役としてドラマ出演も

 表彰式後のインタビューでは、吹っ切れたような笑顔。だが、その目元は潤んでいるようにも見える。「今日は本当に良かったなと思っています」と控えめ。喜びをあえて抑えているような姿は、その心模様を映していた。
 7月29日の個人総合決勝の後。アスリートへの誹謗ひぼう中傷の問題について問われると、胸に秘めた感情が涙とともにあふれ出した。「どうしても、見たくなくても、勝手に入ってきてしまう。それがすごく残念だな、って」。自らのSNSにも多くの声が寄せられていた。度を越した個人攻撃のコメントはすぐ消したが、脳裏には焼きついた。
 注目されるのは嫌いではない。高校時代まで指導を受けた池谷幸雄さん(50)の方針で、幼少期には子役として民放のドラマに出演。人目にさらされることや緊張感に慣れることで、重圧のかかる場面でも力を出せるようにする狙いだった。

銅メダルを獲得し、笑顔の村上茉愛

◆盟友の電話を心の支えに

 池谷さんは「明るくて目立ちたがり」と振り返る。そんな天真らんまんな心も、中傷コメントで痛んだ。少なからぬ人が望まない中での五輪は「目立ちたがり」の少女が夢みた舞台とはかけ離れていた。
 折れそうな心を必死につなぎ留めるためか。2日午前には幼いころから競い合い、支え合った盟友の寺本明日香選手(25)=ミキハウス=に電話をして気持ちを落ち着けた。心が波打つ中でつかんだ銅メダル。そのメダルが、信じた道は間違いではないと語りかけてくれるはずだ。(佐藤航)

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