自宅療養中に家族全員感染 入院待つ女性「子どもまで悪化したら…」

2021年8月3日 21時30分
 新型コロナウイルスの感染が急拡大する地域で、政府は入院対象を重症者らに限定し、中等症患者も自宅療養を基本とする方針を決めた。背景には病床の逼迫ひっぱくがあるが、自宅療養は病状悪化や家族内で感染拡大するリスクを抱える。自宅療養中、一家全員に感染が広がったという東京都内の女性が本紙の取材に応じた。(小倉貞俊、宮本隆康)
 「夫が入院待ちの間に家族全員が感染してしまった。とても不安」。家族4人で暮らす多摩地域の50代女性は、苦しげに話す。
 女性は7月24日、咳が止まらなくなった50代の夫と一緒に、PCR検査を受診。翌25日、ともに陽性と分かった。夫には高血圧の基礎疾患があったが、保健所に「病院に空きがない」と言われ、自宅待機になった。

パルスオキシメーターで測った女性の血中酸素濃度は呼吸困難が起きる中等症のレベルにまで落ちているが、入院先は決まっていない(本人提供)

 健康観察用に貸与された血中の酸素濃度を測るパルスオキシメーターで、夫は正常値(99~96%)を下回り、呼吸不全で酸素投与が必要とされるレベルの89%にまで低下。中等症の2段階の分類で、より重い「Ⅱ」にあたる症状になった。

◆夫は肺炎悪化、娘も、息子も「陽性」

 夫は保健所に呼吸苦を訴えたものの、陽性判定から入院まで5日かかった。医師からは「肺炎の症状が悪化している」と言われ、現在も入院治療を受けている。
 この間、同居する30代の長女、20代の長男とも検査で陽性が判明。自宅療養していた女性も急速に体調を崩し、高熱や倦怠けんたい感などに襲われ、入院を待つ状況だ。長男には障害があり、女性は「私が入院した後、長女まで悪化したらと思うと不安が大きい。精神的にも追い詰められている」とつらい心境を語る。
 都が確保するコロナ病床は3日時点で5967床で、入院者は3351人。病床使用率は56%と、感染急拡大の中でも余裕があるように見える。
 ただ、都の担当者は「対応する医師や看護師が限られており、空き病床があっても受け入れられないケースが多い」と明かす。

◆保健所長「酸素吸入できる場所を設けた方がいい」 

 各保健所が管内で入院先を見つけられず、都の入院調整本部に調整を求めるケースはここ数日、1日あたり400件超。感染状況がやや落ち着いていた6月上旬の8倍に上っている。
 都の入院調整でも連日、100件以上が決まらず、翌日以降に繰り越しているという。
 入院先を調整する各保健所の業務の逼迫は深刻だ。港区みなと保健所では、1週間の感染者数が1カ月で7倍の約1000人に増加。区内で入院先が見つからず、都の入院調整本部に対応を依頼している入院待ち患者は、多い日には10人を超えるという。
 松本加代所長は「入院待ちの人が酸素を吸入できる収容場所を設けた方がいいのでは」と指摘。都も待機ステーションを20床運用しているが、さらなる充実が必要とみている。

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