中等症間患者の急変や重症化に対応できるか 政府新方針 柱の保健所は「困難な状況」

2021年8月4日 06時00分
 政府は、新型コロナウイルス感染症の中等症患者を自宅療養させる方針に転換したのに合わせ、自宅での急変に備えた施策を打ち出した。だが、課題は多い。
 急変対策の柱は、保健所や地域の医師らによる在宅患者の健康管理強化だ。だが、東京都内の保健所は既に自宅療養者の支援や入院調整に忙殺されている。
 コロナ対策を厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の一員で、東京都北区保健所長の前田秀雄氏は「政府方針は寝耳に水。保健所にとっては困難な内容だ」と本紙の取材に語った。

◆突然重症化する懸念も…

 デルタ株は無症状や軽症者が短期間に悪化するケースがある。前田氏は「支援が必要な陽性者が増えた場合、対応は難しい。突然重症化し、亡くなる方が発生する懸念も大きい」と話す。入院基準見直しの必要を強調する政府にも「今の入院患者は症状が重く、自宅療養が難しい人。『軽症だけど念のため入院させておこう』という対応はしていない」と疑問を示した。
 政府は在宅コロナ患者の往診などの診療報酬の上乗せも決めた。医師らの意欲を高め、患者が在宅医療を受けやすくする狙いだ。しかし、往診の担い手が急に増える保証はない。
 症状の悪化が把握できたとしても、厚労省の集計によると、7月28日時点で入院の必要があるのに、受け入れ先が未定の都内の患者は既に202人。迅速な入院が確保されているとは言えない。

◆抗体カクテル、確保・配送に課題

 重症化を防ぐため、在宅患者にも抗体カクテル療法を積極的に実施することも掲げた。だが、確保量が十分か、迅速に配送できるか不安が残る。
 最後の手段となる救急搬送にも影響が出ている。総務省消防庁の集計では、7月26日~8月1日、患者の搬送先がすぐに決まらない救急搬送困難事案が全国で2376件あり、前週比で8%増だった。(大野暢子)

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