中等症患者の入院制限方針 与野党から撤回要求 首相は否定「丁寧に説明」

2021年8月4日 19時29分
 新型コロナウイルス患者の入院を制限し、重症者以外は原則自宅療養とする政府の方針転換に関し、自民党は4日、党会合で撤回を求めることを決めた。公明党は衆院厚生労働委員会の閉会中審査で、撤回を含めた再検討を訴え、立憲民主、共産、国民民主の野党各党も撤回要求で一致した。菅義偉首相は官邸で記者団に「病床を一定程度空かせて、緊急な方に対応しようということだ。丁寧に説明して理解してもらう」と撤回しない考えを強調した。(井上峻輔)

◆判断基準 自治体に丸投げ

 厚労省は3日付で、中等症患者を自宅療養とする具体的な判断基準を政府として示さないまま、入院制限方針を都道府県などに通知したばかり。全国的に感染が急拡大する中、適切な治療を受けられずに自宅で重篤化する懸念が国民や医療関係者の間で高まったことで、与野党から異論が噴出する異例の事態となった。
 首相は入院制限方針の対象について「東京や首都圏など爆発的感染拡大が生じている地域であり、全国一律ではない」と説明。感染爆発を予見できなかったのかを問われたのに対しては、デルタ株の感染力を1.5倍程度と想定していたが「それをはるかに超える状況ではないか」と述べた。

◆尾身氏「相談や議論していない」

 政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が衆院厚労委で、政府方針に関して「相談や議論はしていない」と明かした。それに対し、首相は「厚労省で必要な相談をすべきだった」と対応の拙さを認めた。
 衆院厚労委では、公明党の高木美智代氏が「酸素吸入が必要な中等症の患者を自宅で診るなんてあり得ない。撤回も含めて検討し直していただきたい」と迫った。立憲民主党の長妻昭氏も政府方針を「人災だ」と追及し、政府が対応を誤って病床逼迫を招いたとして田村憲久厚労相に謝罪を求めた。
 田村氏は、入院制限方針で在宅患者への処置が想定通りに進まなければ「また元へ戻し、しっかりと(中等症患者も病院に)入ってもらえばいい」と指摘。病床確保のための対応であるとして、うまくいかなければ見直しもあり得るとの考えを示した。
 共産党の宮本徹氏は、中等症患者の一部が自宅療養になることで、病状悪化への対応が遅れる可能性を指摘。田村氏は「マンパワーは無尽蔵ではない」と限界があることを認めた。
前のページ

関連キーワード

PR情報

政治の新着

記事一覧