川井梨紗子、五輪連覇まであと1 吉田沙保里の4連覇阻んだ難敵を「触角」で撃破<レスリング女子57キロ級>

2021年8月4日 19時20分

女子57キロ級準決勝 決勝進出を決め、スタンドの妹・友香子に向かってポーズを取る川井梨紗子=いずれも幕張メッセで

 東京五輪のレスリング女子は4日、57キロ級の準決勝が行われ、2016年リオデジャネイロ五輪63キロ級の金メダリスト・川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)がマルーリス(米国)を2-1で下し決勝に進出。銀以上のメダルが決まった。62キロ級で五輪初出場の妹・友香子は4日夜に決勝を控えながら、スタンドから声援を送った。決勝は5日、クラチキナ(ベラルーシ)と対戦する。

◆序盤から川井梨の展開

 頼もしい姉の姿を見せつけた。川井梨が五輪連覇へ王手をかけた。最大のヤマ場だった準決勝。相手は2016年リオデジャネイロ五輪で吉田沙保里の4連覇をはばんだ米国のヘレン・マルーリス。技の得点はなく、2―1のスコアは、両選手とも消極的姿勢による注意で得たポイント。ただ、本人は「ポイントは取れなかったけど、感覚的には悪くなかった」。

女子57キロ級準決勝 米国のヘレンルイーズ・マルーリス(左)を攻める川井梨紗子

 序盤から、川井梨の右手が決まる。柔道で言えば奥襟を常に持ち続けた状態で、動きを封じた。相手に審判から消極的姿勢への注意が出るのは必然だった。
 「触角」。日本代表のある男性コーチはかつて、川井梨の右腕をそう表現した。虫の触角のように、右腕で相手との間合いを測る。獲物が自分の距離に入り込んだ瞬間、鋭く動く。右手で相手の首根っこをがっちりとつかむ。
 「決め」と呼ばれる、そのつかみ方が絶妙だという。男性コーチは体重で川井梨を上回るが「決められたら、私でも入り込めなくなる」と苦笑していた。

◆全国レベルの高校でもまれ成長

 故郷で過ごした幼少期。「大した選手じゃなかった。勝ちより負けの方が多かったと思う」と母の初江さんは振り返る。愛知・至学館高に進み、全国トップクラスの選手たちにもまれる中で、自分が勝負できる要素を必死になって考えた。猛練習の成果が、「組み手の梨紗子」と言われる今につながっている。
 夢の実現へ、絶対に負けられない試合だった。「組んだ瞬間、いつもの練習相手の方が圧があると思った。いけると思った」。5年前、レスリング界のレジェンドに立ちふさがった強敵も、姉妹の夢をはばむことはできなかった。(多園尚樹)

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