川井友香子、コロナ禍の努力実り頂点 57キロ級の姉・梨紗子との同時金メダルに王手<レスリング女子62キロ級>

2021年8月4日 23時12分
 東京五輪のレスリング女子は4日、62キロ級の五輪初出場の川井友香子(23)=ジャパンビバレッジ=が2019年世界選手権同級女王のアイスルー・ティニベコワ(キルギス)を破り、金メダルを獲得した。この日、57キロ級で決勝進出を決めた16年リオデジャネイロ五輪63キロ級金メダリストの姉・梨紗子(26)=ジャパンビバレッジ=との姉妹ダブル金メダルに王手をかけた。

◆世界女王に雪辱

女子62キロ級で金メダルを獲得し、日の丸を掲げる川井友香子=幕張メッセで

 大会前、姉の川井梨をはじめ、周囲の誰もが「強くなっている」と口をそろえた。それは真実だった。初の五輪で川井友が頂点に立った。「今までの中で一番最高な一日になった」。新型コロナウイルス禍で実戦機会がない間に積み重ねた下半身の筋力強化が、大舞台で結実した。
 決勝。初戦から圧倒的な力技で、無失点のまま勝ち上がってきた現世界女王との一戦。立ち上がりから、がっちりと組み合った。2―1で迎えた後半残り1分30秒すぎ。疲れの見え始めた相手の中途半端なタックルを、鮮やかにかわして背後を取った。最終盤に女王も意地を見せたが、落ち着いて逃げ切った。
 2019年の世界選手権。3位となって五輪切符を確保したが、敗れたのがこの日の決勝の相手だった。パワーで圧倒されてのフォール負けだった。

◆鍛えた筋力、確立した後半勝負

 2カ月後、東京・国立スポーツ科学センター(JISS)での出会いが転機となる。ラグビーの強豪サントリーを支えた経歴もある沼田幹雄トレーナー。「骨格の割に筋力がまだまだ」。強みの上半身の筋力を伸ばしつつ、弱点の下半身の力を積み上げるトレーニングが始まった。
 五輪は1年延期。おかげで強化の時間ができた。筋力も体重も大幅に増加。組み手は安定し、力勝負でも以前より体力を削られなくなった。だから確立できたのが、後半勝負という作戦。初日の3試合はいずれも後半の3分間にギアを上げた。決勝も、2年前に力負けした相手に最後まで真っ向から組み合った。
 もともと定評があったスタミナ。所属先の金浜良コーチが「心肺機能に負荷をかけるトレーニングで、ほかの選手は徐々に数値が落ちていくが、友香子は逆に最後にまた伸びる」と笑う。
 コロナ禍で地道に成長して、頂点にたどり着いた。試合後、日の丸を掲げ、マットを周回した。「ずっとずっと、これがしたかった。本当に夢みたい」。姉の前で、目を潤ませながら胸を張った。(多園尚樹)

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