初公開の「命のビザ」 日本橋高島屋で杉原千畝展

2021年8月5日 07時06分

会場を訪れた駐日外交官を案内する杉原千畝の孫の杉原まどかさん(右)=中央区で

 第二次世界大戦中に東欧リトアニアの当時の首都カウナスで、ナチス・ドイツの迫害から逃れようとしたユダヤ系避難民へ本国の訓令に背いて日本通過ビザを発給し、彼らの命を救った外交官杉原千畝(ちうね)(一九〇〇〜八六年)の功績を紹介する展示が四日、中央区の日本橋高島屋で始まった。国内では初公開となる、パスポートではなく一枚の紙に記されたいわゆる「命のビザ」の実物=写真=など貴重な史料を多数紹介する。二十三日まで。(井上靖史)
 「ナチスの迫害は強まっていた。リトアニアに残っていたらその後侵攻されて家族みな生き残れなかった」。会場では五歳の時、杉原が発給したビザで福井県敦賀市に上陸し、後に米国へ渡った物理学者ビクター・ギリンスキーさんのビデオメッセージを紹介する。
 杉原の出身地にある「杉原千畝記念館」(岐阜県八百津町)のホームページによると、杉原がユダヤ系避難民に発給したビザは約一カ月間で二千百三十九通にのぼる。
 同記念館はパスポートに記載されたビザを所蔵するが、避難民の中には混乱からパスポートを用意できず、杉原が一枚の紙に必要事項を記載し、発給を受けた人が少なくなかった。ビクターさんもその一人だった。
 ほかにも杉原が妻の幸子さんとともに子育てする様子をつづった育児日記、晩年に自身の人生を振り返った直筆の原稿、愛用品などの資料百点と写真五十点を展示している。初日は孫の杉原まどかさんも会場入りし、見学に訪れた駐日外交官らを案内した。
 同県出身で練馬区から訪れた森昤二(りょうじ)さん(78)は「岐阜人の誇り。記念館で見たことがない資料も多く、興味深い」と話した。
 主催はNPO法人「杉原千畝命のビザ」など。開場は午前十時半〜午後七時(最終日は午後五時半まで)。一般千円、大学・高校生八百円。中学生以下は無料。問い合わせは日本橋高島屋=電03(3211)4111=へ。

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