<つなぐ 戦後76年>広島原爆の悲劇伝える 移動劇団「桜隊」を若手らが再結成 あす目黒で追悼の朗読劇

2021年8月5日 07時06分

本番に向けてけいこをする桜隊のメンバー=世田谷区で(いずれも移動演劇桜隊平和祈念会提供)

 広島市に原爆が投下された一九四五年八月六日に被爆し、所属俳優九人が命を落とした移動劇団がある。名前は「桜隊」。その歴史を語り継ごうと、若手俳優らが新たに同じ名で移動劇団をつくり、六日に殉難碑のある目黒区の五百羅漢寺で朗読劇を披露し、先人に思いをはせながら平和を祈る。(山下葉月)

移動演劇桜隊の隊長を務め、原爆で命を落とした俳優・丸山定夫

 「移動演劇桜隊平和祈念会」のホームページによると、桜隊は太平洋戦争末期の四五年一月、戦意高揚を目的に結成された国策劇団で、多くの舞台や映画で活躍した俳優丸山定夫を隊長に、元宝塚スターの園井恵子ら当時の人気俳優も参加した。
 東京の空襲が激しくなったため同年六月に広島市へ疎開し、中国地方を巡演した。原爆投下時は爆心地から約七百五十メートルしか離れていない宿舎で九人が被爆。五人が即死し、丸山、園井ら残る四人も間もなく死亡し、劇団は壊滅した。
 今回上演する約四十分の朗読劇は「ヒロシマ」。八八年公開の映画「さくら隊散る」を監督した故・新藤兼人さんのシナリオを軸に、劇作家丸仲恵三さん(46)が再構成した。ありふれた日常の風景が原爆投下を契機に一変し、桜隊のメンバーや市井の人々の被爆の様子とその後を、当時の写真などのスライド約二百枚を添えながら描いた。

移動演劇桜隊のメンバーで、元宝塚スターだった園井恵子

 長年、桜隊について独自に調べてきた丸仲さんは今回、実際に被爆した人の話も新たに盛り込んだ。「新藤監督は、原爆投下からの三秒間で何が起き、何万という人が苦しみ、人為的に人が殺されたことを伝えたかったことだろう。一般の人たちの声や心境もしっかり伝えたい」と強調する。
 朗読劇に参加するのは、首都圏で活動する二十〜四十代の俳優六人と、特別出演の俳優常盤貴子さん、窪塚俊介さんの計八人で四月から準備を進めてきた。
 参加する広島市出身の平田みやびさん(22)は「数年前まで桜隊の存在を知らないでいたが、広島出身者としてしっかり語り継ぎたい」と思いを込めた。
 六日の再結成公演は、感染防止のため関係者のみ。桜隊は今後も活動を続け、来年に広島市での上演も目指す。詳細は「移動演劇桜隊平和祈念会」で検索。

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