埼玉県内の病床使用率「6割」目前 入院対象の絞り込みも 重症者限定には慎重

2021年8月5日 07時11分
 新型コロナウイルスの感染急拡大で、埼玉県内の医療提供体制が切迫している。県は、入院を重症者や重症化リスクの高い人に限定するという政府の方針に対しては慎重な姿勢だが、病床の余裕はなくなっており、独自の基準で入院対象者を絞り込まざるを得ない局面を迎えている。(飯田樹与、近藤統義)
 三日、非公開で開かれた県感染症専門家会議。終了後取材に応じた大野元裕知事によると、「しばらくは中等症から軽症者の(健康)観察の体制を強化することが必要。いきなり政府の形に移行するのはどうか」と、入院を重症者らに限ることには慎重な意見が多かったという。大野知事は「意見を重く受け止めたい」と述べた。
 ただ、県内の直近一週間(七月二十八日〜八月三日)の新規感染者数は六千三百三十五人で、前週の三千百二十八人から倍増。コロナ患者用に用意した病床の使用率は、三日時点で59・3%に上がった。
 先月末に県が入院先を探し始めたある中等症の患者は、今月二日まで受け入れ先が見つからなかった。入院までに四十八時間以上かかるケースが発生したのは「第三波」の一月以来だった。
 県は、病床使用率が60%を超えた場合には、患者を独自の基準で選別することを五月下旬に決めていた。「酸素飽和濃度が93%以下」は六点、「六十五歳以上」は二点など、重症化リスクとなる症状や持病を点数化し、合計点が六点以上の患者を優先して入院させることになっている。
 より重い患者を確実に入院させるためで、医師の判断によっては点数にかかわらず入院対象とすることもあるという。しかし、これまで入院の対象だった高齢者は、他のリスク要因がなければ点数が足りず対象から外れてしまうなど、入院のハードルは上がることになる。
 中等症以上の患者を受け入れている県内のある病院の医師は「病床が残り40%というと余裕があるように聞こえるかもしれないが、スタッフの確保や患者の入れ替えに時間がかかるなど、全てがすぐに使える病床ではない」と話す。「医療は既に逼迫 (ひっぱく)している」と追い込まれている状況への理解を訴えた。

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