入院制限に相次ぐ批判

2021年8月7日 07時46分

新型コロナウイルス感染者の対応に追われる埼玉協同病院  =先月、埼玉県川口市で

 東京五輪は、きょうとあすの二日を残すだけとなりました。選手がそれぞれ活躍する一方、懸念されていた通り、新型コロナウイルスの感染拡大は止まりません。
 その中で菅義偉首相から飛び出したのが、新型コロナ患者の入院対象を重症者と重症化リスクの高い人に限定する政府の方針転換です。これまで入院対象だった中等症患者は、重症化のリスクが低いと判断されれば軽症者同様、自宅での療養となったのです。
 政府は、重症者用に病床を確保するためとしています。しかし、容体急変の可能性があるのが新型コロナです。
 私たち論説室の議論では、「五輪を優先する首相の姿勢が感染の拡大を招いた」「専門家から医療逼迫(ひっぱく)の懸念が示されていたのに、首相が発するのは楽観的なメッセージばかりだ」などと、厳しい意見が相次ぎました。
 五日の社説「救える命守れるのか」は、そうした議論を反映したものです。
 読者からも「国は医療崩壊を認め、やるべきことを放棄した」「首相の発言は『コロナにかかった人は病院に行かずに家で死ね』と言っているようにも聞こえる」との厳しい意見が届いています。
 入院制限には、与野党の枠を超えて批判が相次いでいますが、新しい方針は撤回には至っていません。
 国民の命と健康を守ることは、政府にとって最も優先すべき責務です。新型コロナはこれまで未経験で、対応が難しい感染危機であることは分かりますが、危機からあえて目をそらし、五輪を優先したり、楽観的なことばかり発信することが感染を拡大させてはいないか。首相は誠実に省みるべきでしょう。
 読者からは「コロナよりも五輪を優先する首相の考えはおかしい」「人命より五輪を大事にする首相はもういらない」との批判も相次いで届きます。全く同感です。
 来週の「ぎろんの森」は、「終戦の日」関連の社説掲載のため休載します。 (と)

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