東京五輪閉幕 女性蔑視、容姿や身体障害者へのやゆ、食品ロス…社会の課題浮き彫りに

2021年8月9日 06時00分
閉会式の最後に表示された「ARIGATO」の文字

閉会式の最後に表示された「ARIGATO」の文字

 大会中、国立競技場で取材後、渋谷駅まで歩いた。深夜にもかかわらず、路上飲みがあちこちで行われ、一部の店では人々が密になって酒を飲んでいた。歩く人の3割程度はマスクをしていなかった。連日、日本人選手のメダルラッシュがニュースを埋め尽くしており、緊急事態宣言下でも、市民が危機感を抱けなかった。
 開会式当日、東京都の新型コロナ新規陽性者は1359人だったが、大会中に5000人超まで増えた。選手・大会関係者の陽性も累計400人を超え、直接、間接を問わず保健医療に負担を与えた。大会閉幕後も苦しみは続く。
 選手たちはコロナや酷暑を乗り越え、勝利や自己ベストをつかみとった。仲間と喜び、ライバルをたたえ合う姿はスポーツの素晴らしさを改めて教えてくれた。
 しかし残念ながら無断外出やマスクを外しての会話など行動ルール「プレーブック」の違反も相次いだ。選手から運営側や支援者への感謝の言葉はあっても、医療従事者やコロナで苦しんでいる人への思いがほとんど発せられなかったことも残念だった。
 2度目の東京五輪は日本に何をもたらしたのか。運営側は暑さやコロナに正面から向き合わず、大会を混乱させた。無責任体質、パワハラ、セクハラ、女性蔑視、容姿や身体障害へのやゆ、食品ロス…。観戦もかなわず、将来の子や孫に自慢できるものにはならなかったかもしれない。
 森喜朗・前組織委員会会長の女性蔑視発言に抗議し、聖火ランナーを辞退した男性の言葉が印象に残っている。「私も昔は女性を見下していたところがあった。森さんと同じだったかもしれない。でも日本は変わっていかないと」
 五輪は私たちの身近にあるさまざまな問題を照らした。聖火は消えるが、未来のために行動する「火」はともしておきたい。(原田遼)

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