<TOKYO2020→21>レスリング女子・金 松戸出身の須崎選手 家族ら支え圧勝劇で恩返し

2021年8月9日 07時06分

女子50キロ級決勝でテクニカルフォール勝ちし喜ぶ須崎優衣さん=千葉市美浜区の幕張メッセで

 七日夜に行われた東京五輪レスリング女子50キロ級決勝で、松戸市出身の須崎優衣選手(22)=早大=が、金メダルをつかんだ。これまで支えてくれた家族やコーチなど周囲への恩返しとなる圧勝劇だった。(中谷秀樹)
 家族によると、決勝戦の後に電話で連絡した須崎選手は「金メダルは重い。勝ってホッとした」と喜びをかみしめていたという。
 七歳で松戸ジュニアレスリングクラブに入団。練習でマットの裏に隠れんぼする無邪気な女の子だったが、程なく素質が開花した。二歳で補助輪なしで自転車に乗ったバランス感覚、金メダルをたぐり寄せた豪快な寝技を生み出す体幹の強さは幼少時から目立った。負けん気も人一倍で、同クラブの野間良秀監督(65)は「試合で左指を骨折しても、一週間で練習に戻ってきた」と話す。

元レスリング選手の父・康弘さん(後方)がセコンドについて試合に臨む小学5年の須崎選手

 松戸市立六実中学一年の途中、寄宿制で金メダル候補を育成する日本オリンピック委員会(JOC)の「エリートアカデミー」(東京都)に編入する誘いがあった。「子離れできない思いもあった」という父の康弘さん(59)は最初は反対した。だが、須崎選手がクラス担任との交換日誌で「自分の人生は自分で決めます」と書き記したと知り、親元を離れる決断をした娘の背中を押した。
 須崎選手の相談相手になったのは、同じ早大レスリング部の元選手で姉の麻衣さん(26)。二〇一九年夏、ライバル選手に敗れて一度は五輪代表が絶望的になった時、「私は0・1%の可能性を信じている」とLINE(ライン)で伝えた。須崎選手は二日休んで練習を再開。麻衣さんは「万が一チャンスが巡ってきて、準備していなければ妹がもっと後悔すると思った」と振り返る。
 新型コロナウイルスの最初の緊急事態宣言が発令された昨年四月、須崎選手の練習拠点が約二カ月閉鎖された。この時も麻衣さんが会社休みに練習相手として自宅前でタックルなどの打ち込みや朝夕の走り込みに付き合った。

須崎選手が20歳の自分に向けて書いた作文(いずれも家族提供)

 十歳の須崎選手が、十年後の自分に向けた作文には「20歳の優衣へ。オリンピックに行けるように願います」とある。母の和代さん(50)は「水泳やピアノも習っていた普通の子どもが金メダルをとれたのは、指導者や競技仲間のおかげ。娘には好物のサツマイモのてんぷらを食べさせてあげたい」と帰りを待っている。

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