2030年ごろ気温1.5度上昇 温暖化の原因は人間活動「疑う余地ない」 IPCC報告

2021年8月9日 22時08分
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、地球の平均気温が2030年前後に産業革命前に比べて1.5度上昇するとの第6次評価報告書を公表した。18年の特別報告書は30~52年に1.5度上昇としており、10年ほど早まった。前回は「支配的な原因だった可能性が極めて高い」としていた人間活動の温暖化への影響も、「疑う余地がない」と初めて断定した。
 最新データに基づき予測精度を改善した。平均気温は最も対策を取るシナリオで、今年から40年までに50%超の確率で1.5度上昇すると分析。30年ごろには達すると見通した。
 平均気温が2度上昇すると、熱波や干ばつ、豪雨、台風の巨大化など極端な気象状況が深刻化するとされる。IPCCが各国政府や、国連の気候変動枠組み条約会議で訴えてきた「今世紀末までに上昇を2度以下に抑える」目標については、有効な二酸化炭素(CO2)削減策を講じれば実現できるシナリオを描く一方で、CO2排出の実質ゼロが遅れた場合には「今世紀後半に2度弱の上昇に達する可能性がある」とした。
 今回、深刻な分析が示されたのは海面上昇。海水温度は上昇傾向が続き、グリーンランドなどの氷床の溶解で2300年には、温室効果ガスの排出を大幅に削減しても最大3メートル、対策を講じなければ最大で7メートル海面が上昇すると予測。対策しても今後数百年、海面水位の上昇は止められないとした。
 静岡県熱海市で7月に発生した集中豪雨や、ドイツ、中国での洪水も温暖化の影響とみられると、報告書に携わった国立環境研究所の江守正多せいた・地球システム副領域長は、指摘する。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC) 気候変動を科学的に調べるため、1988年に世界気象機関と国連環境計画が設立した組織。195の国・地域が参加する。気象学などの研究者らの協力を得て、最新の知見を反映した報告書を5~7年ごとに作り、各国の政策決定者に基礎的情報を提供。2007年、地球温暖化対策を訴えてきたアル・ゴア元米副大統領とともにノーベル平和賞を受賞。

◆問われる人類の在り方

 IPCCの第6次評価報告書は、私たち自身が温暖化の原因になっていると断定し、人間活動が気候変動に与える影響への懐疑論を一蹴した。
 研究者は「既に身近な電気を節約する省エネでは、解決できない段階」と警告。産業構造や、増え続ける人口など人類の在り方が問われる事態となっていることを、私たちは認識しなければならない。
 報告書が指摘する海面上昇も心配だ。研究者らは南極西部にある九州、四国並みの巨大氷床に注目。温暖化対策が不十分な場合、2300年までに海洋に崩落する可能性があり、その場合、海面は一気に15メートル上昇するとの分析もある。
 新型コロナ禍からの復興には、再生可能エネルギーを中心とした「グリーンリカバリー」が必須とされる。もはや「日常」となった酷暑や大型台風を回避するため、「生きものとしての気付き」に、私たちは感覚を研ぎ澄まさなければならない。(蒲敏哉)

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